毎年旧暦の4月8日に最終日を迎える年に一度の伝統行事、長洲饅頭節が5月12日から7日間にわたり長州島で開催され、最終日の同17日、祭りの目玉の一つ「搶包山比賽」と呼ばれるまんじゅう争奪戦が行われた。
選手たちは約15メートルの山頂付近で、まんじゅうを背中の籠に
長洲島は、中環(セントラル)から高速船で約35分、普通船で約1時間で到着する小さな島。いくつかの宿泊施設やビーチ、海鮮レストランがあるため、地元香港人の間でも身近なリゾート地となっているが、同島が最もにぎわうのが長洲饅頭節の時期。
長洲饅頭節は航海者の守護神「北帝」の誕生日を祝う祭りといわれているが、北帝廟の隣には、高さ47.3フィート(約14.42メートル)、その数9000個のまんじゅうで作られた巨大な塔が建てられ、祭り最終日の深夜0時に始まる搶包山比賽のクライマックス、まんじゅう争奪戦決勝のために準備される。祭り期間中、島内の至るところで販売している「平安」と赤く印字された白いまんじゅうは、無病息災を願うのもの。そのまんじゅうがくくりつけられた山を駆け上る競技では、天候の影響も多く受けるため、ここ数年は本物のまんじゅうではなく、プラスチック製のものを使用している。まんじゅうの塔「包山」に若者が登り、時間内に取って来たまんじゅうの合計点を競う。
決勝戦は予選を勝ち抜いた男性9人、女性3人の12人で争われた。ルールは、競技時間3分以内にまんじゅう山に上り、「平安」を印字されたまんじゅうを取り、山を下りる。山は3つのゾーンに分けられ、高くなるほど、まんじゅうの点数が高い。麓付近1点、中腹3点、山頂付近9点。その合計点数で競われるが、今年から全体の個数を競う代代平安賞も新設された。
深夜0時の試合開始にもかかわらず、所定の会場内だけでも1650人、外側にあふれる人の数も加えると2000人以上の観客に見守られる中、優勝したのは過去5回の優勝経験がある郭嘉明さん。
決勝前のインタビューでは「リベンジで来たと思われているかもしれないが、自分ではそう思っていない。勝負にはもちろん勝ち負けがある」と豊富な優勝経験に甘んずることなく、自身も挑戦者の一人であることを強調していた。結果は1045点。個数の総数を競う代代平安賞も郭嘉明さんが勝ち取り、記録は141個でダブル優勝となった。
深夜に行われる短時間の競技のために昼間のパレードから8時間もの間待った観客の多くは、表彰式を見ることなく、試合終了の合図とともに一斉に帰りのフェリーへと急いだ。