旧暦の正月を迎えた香港は2月19日、嗇色園黄大仙祠で、毎年恒例の香港版「開門神事福男選び」である「黄大仙祠上頭●香」で幕を開けた。同行事は、日本の初詣でのような位置づけで、宋朝の頃から存在したと言われ、旧正月の初日に寺で線香を立てる「頭炉香」が時代とともに「一番に立てること」に変わっていき、最初に立てた人は、「今年一番の福を得る」と言われている。
嗇色園黄大仙祠は香港で有名な寺院の一つであり、ローカルの人だけではなく、観光客にも人気がある。獅子山の南側にありその面積は約18万平方フィート。主祭神は黄大仙であり、本殿以外、ほかの建築や施設も特色がある。道教独特の金黄色の屋根と赤い円柱が印象的だ。今年も19時過ぎから徐々に人が集まり、早朝7時までに5万人以上が「幸運」を望み、黄大山を訪れた。
21時の開門後は一番最初を競う「頭炉香」に参加しない参拝者は、各回人数制限されながらも、代わる代わる線香を手向ける。香港人の感覚では明確に日付変更の意識があるのではなく、「同じ日の夜だから、細かいことはあまり気にしない」と話し、家族で参拝する様子が見られた。また香炉横のチャリティーとして寄付される賽銭箱には約8割の人が100香港ドルを入れ、時には500香港ドル札も見えるほど。「多く払うことで、多くの幸運とお金が戻ってくるからね」と40代の参拝者は言う。
数年前までは、スタートと同時に、入口のゲートから本殿に向かってかけ上り、幸運をかけて一番に線香を立てる方式であったと言われるが、数年前からは21時にゲートが開き、同イベントに参加する人は本殿前の柵で仕切られたスペースで待機する流れに変わったという。安全性の観点から導入されたというが、現場では「走るのが長すぎると疲れてしまうから今の形でちょうど良い」という声も上がる。手持ちの太い線香「大砲香」3本を頭の上に掲げわずか目の前5メートル先の香炉に線香を立て、その年の繁栄を祈るという風習のものだ。
そしてクライマックスの旧暦子時(大晦日の23時)。柵が一斉に取り除かれる予定であったが、その数分前に関係者が柵に手をかけた途端に参拝者は猛ダッシュ。フライングの人がいる中、混乱状態で誰が1番最初に立てたかは判別がつかない状態で幕を開けた。
また同行事で毎年大きく話題になるのは、女優「夏蕙姨」の存在。今年で84歳になったが、毎年干支(えと)の被り物をして披露する。今年の羊の被り物「Diamond羊」を被り、最前列で23時を待っていた。
旧正月のイベントは、19日尖沙咀のナイトパレード、20日のビクトリア湾花火大会などが予定されている。
●=火へんに主。