京都でハラールパンを製造するショウエイは6月15日、炮台山駅近くの電気道(180 Electric Road, North Point)に京都製パン店「松栄庵」をグランドオープンした。AIAタワーの斜め前に位置し、人通りの多い道の路面に出店した。
同社は日本では早い段階で、イスラム教で禁止されている食材を使わないで作る無添加パン、ハラールパンの開発に取り組み、京都中央卸売市場に隣接した「KYOCA FOOD LABORATORY」内で販売しながら、ホテル向けや、老人ホーム、ケアハウスからも注文を受け、パンを製造している。
日本とは違い、「香港では肉がないと成立しない」と市場を分析し、ハラールにするために必要な「無添加」の部分に焦点を当てて、42種類のパンで販売スタートした。塩パン、エピ、オニオンブレッド、メロンパンやあんぱんなどを8~20香港ドルで販売する。近隣のパンと比較すると商品によっては3倍の値段になるものもあるが、マーガリンなどは一切使わず、全てバターを使用するというこだわりで、「子どもが安心して食べられるパン」をうたう。
製造は早朝4時にスタートし、1日6便を柴灣の工場から運び店頭に並べ、鮮度にこだわり販売する。スタート当初から1日800個~1000個の安定的な売り上げを見せ、1週間前のソフトオープン時から毎日買いに来る常連客もすでに現れているという。
京都ブランドを生かし、あんぱんやメロンパンにも「京都抹茶」を使ったものを展開。今後も京野菜や漬物を練り込んだパンなど積極的に出していきたい考え。同社の松永圭二社長は「いくら京都のものとはいえ、京都で出回る一番良い形をした野菜をそのまま使用したら2,000円くらいのパンになってしまうため、それでは市場に合わない」とし、「いかに京都のものを、コストをかけない形でおいしさをそのまま香港に届けられるかが鍵」と話す。春はタケノコと菜の花にみそ田楽を合わせたもの、秋には賀茂なすや九条ネギを使ったパンを展開する計画もあるという。
「香港市場は夜でもパンが売れるのは面白い」(同社長)と話し、「良い意味でわがままなお客さんも多いので、自分の感想をはっきりと言う」と笑いながら、「甘すぎる」と言われた抹茶パンには、その場で抹茶を振りかけてあげるサービスなどをしたところ、かえって抹茶パンのファンになってくれたというエピソードも。
今後も季節メニュー、週替わり、月替わりなど、市場の需要にあわせ、120種類程度まで広げる予定。オーダー式で高級デニッシュパンや食パンなども販売していきたい考え。中国本土での展開もすでに準備を開始し、香港と両方を合わせ今後20店舗程度の出店を見込む。
営業時間は8時~20時。