香港ジョッキークラブ(HKJC)による2015-16年シーズンの競馬が9月6日、沙田競馬場で幕を開け、初日は7万2000人のファンが競馬場を訪れた。15年ぶりにケイ・チオン(蒋嘉琦)という香港生え抜きの女性騎手が誕生したことに注目が集まっている。
優勝したマシュー・チャドウィック騎手(左)とキャリー・ラム(林鄭月娥)政務長官
昨シーズンは香港ジョッキークラブが創設130周年を迎えたこともあり、例年と比べてさまざまなイベントを開催したほか、馬と水のショーである「Cavalia」なども行うなど活動的だったことと比較して、今シーズンは話題性で昨年と比べてインパクトに欠ける。
HKJCのエンゲルブレヒト-ブレスケスCEOは「初日の入場者は昨年より減少したが、それでも過去20年間で2番目の多さ」とコメント。一方で売り上げは前年を1%上回る11億4,700万ドルを記録した。過去20年で最高額を記録した昨年の初日を上回る結果となったため、「良いスタートが切れて満足している」とエンゲルブレヒト-ブレスケスCEOはマーケティングや施設への投資などが功を奏したことを喜んだ。HKJCは香港政府の歳入に貢献している最大の企業・団体の一つで、政府への納税額も公表しており、この日の納税額は1億3,400万香港ドルだった。
メーンレースのチーフエグゼクティブ杯(香港特区行政長官杯、1200メートル、11頭だて)で勝ったのは香港人トップジョッキーのマシュー・チャドウィック騎手が乗るアイム・イン・チャージ。道中は集団半ばの内ラチ沿いを走り、残り約350メートル強で前方が大きく空いたところをついて豪快な伸び足を見せ、残り100メートルで先頭に立ちゴール版の前を通過した。2着は4分の3馬身差でカリス・ティータン騎手鞍上(あんじょう)のエキサイティング・ドリームが入った。配当は単勝で73香港ドル。アイム・イン・チャージは順調に行けば今年12月に開催される香港インターナショナルレース(HKIR)の一つである国際G1レース「香港スプリント」への出走を視野に入れる。
2000年にキャロル・ユー(余詠詩)さんが引退して以来の女性騎手誕生で話題となっているケイ・チオン騎手は22歳。2012年に見習い騎手として契約し、ニュージーランドなどで訓練を積み、フランシス・ルイ厩舎(きゅうしゃ)に所属する。この日開催された10レースのうち第5、6、8、9の4レースに騎乗し、それぞれ6、2、9、11着という順位だった。特に2着に入った第6レースではスタートから先頭を走る積極的な逃げを展開し、残り50メートル手前までは先頭を走るなど場内を沸かせた。