凸版印刷は6月10日から8日間、グラフィックデザインがどこまで印刷で表現できるかを追求する企画展「グラフィックトライアル」を香港・クオ―リ―ベイのVenue Space 27(10/F, Block A/B, Tung Chong Factory Building, 653-659 King’s Road, Quarry Bay,Hong Kong)で開催する。
アラン・チャンデザインカンパニーとの共催で、アランさんがキュレーターとして凸版と手を組んだ。香港でも50年以上の歴史を刻む凸版印刷は、返還前は香港島に印刷工場があり、偶然にも今回展示をする場所の近くに印刷工場があった時代もある。7月1日、香港は中国返還20周年を迎えることもあり、同展も「香港特別行政區成立二十周年慶典成為認可的慶祝活動」の一つに登録された。オープニング前日の9日、凸版印刷の足立直樹会長も来港し、初の海外でのコレクションを実現させたことを祝った。同展は在香港日本国総領事館も後援する。
同展は2006年から日本国内で毎年開催されるもので、クリエーターがさまざまな印刷表現に挑戦する実験(トライアル)企画を実現するもの。日本国内では7月1日から「Fusion:統合、融合」を表現テーマに開催されるが、香港ではこれまでの全作品230点から選び抜いた90点を展示する。
水、空、岩など、自然を題材にしたものでも、印刷で作り出せる質感などは色の重ね方、加え方などで表現に変化が出る。構想から完成に至るまでには、さまざまなプロセスがある。参加クリエーターはグラフィック界を代表する浅葉克己さん、勝井三雄さんなど、第一線で活躍するクリエーターが1枚のポスター制作を通して印刷技術が成しえる表現の世界に挑む。アランさんは同プロジェクトで昨年、「Five Elements -五行-」と題し、中国に伝わる自然哲学を5つの数字をモチーフに、質感や空間構成でシンボリックに表現する作品を発表している。「通常作品には手を触れてはいけないものだが、印刷とグラフィックの融合の素晴らしさを、今回は僕の作品の『5』のポスターを触って確かめてみても」とアランさん。
現在、国内外20か所の文化施設、観光施設へVRシアターの導入を展開するなど、VRの開発に取り組む凸版印刷。同展でも「東大寺大仏」を再現するコーナーも設ける。
開館時間は11時~18時。入場無料。今月18日まで。