香港を拠点とするグレーターベイ航空(大灣區航空)は11月16日、香港国際空港と徳島阿波おどり空港を結ぶ定期便の運行を開始した。
徳島県で年間を通して運航する国際定期便は初めてで、週3往復、運航する。2022年7月に定期便の就航を始めた新興航空会社のグレーターベイ航空にとっては日本4都市目の就航地となり、毎週、月曜・水曜・土曜の週3便運航する。
徳島と香港を結ぶ航空便は、徳島阿波おどり空港が2018年1月、航空機受け入れ能力の向上や国際線への本格的なインバウンド対応を目的とした新ターミナルをオープンして以降、キャセイドラゴン航空による週2便の連続チャーターの実績がある。加えて、徳島県は外国人宿泊者数としても香港人が1位を獲得する意味でも際立ち、さらなる行き来を含めた交流が求められてきた。その後、コロナ禍が明け、香港からの航空路線も順調に回復する中、この夏、グレーターベイ航空によるチャーターが実現した。香港の訪日大手旅行会社「EGLツアーズ(東瀛遊)」がこのチャーター便を主導し、今回の就航に結び付いた背景がある。同航空会社は7月18日から、チャーター便5往復を飛ばし、徳島と香港を結ぶ国際定期便の就航に向けた共同宣言に調印。定期便就航に向けてのスケジュール調整を行っていた。
四国に向けての路線としては、高松空港には現在、香港エクスプレスが週7便で運航しているが、同社は昨年11月から香港内の旅行会社に向けての座席販売を事実上停止したことから、特に団体旅行などでの四国への送客に困難が発生している。香港から徳島に向かう際は高松を経由する必要がなくなるため、移動時間のロスが大幅に減り、徳島観光に寄与する。もともと、関西を周遊する香港人も多いことから、淡路島、小豆島、なども経由する徳島イン、関西アウトの行程なども、より組みやすくなった。
初便が到着した16日、徳島県庁は歓迎セレモニーを開き、村上耕司徳島県副知事、香港経済貿易代表部謝智浩(レオ・ツェー)副代表、グレーターベイ航空呉秀蘭(リザ・ンー)CEOも出席。呉CEOは「われわれは日本市場の開拓に真剣に取り組んでいる。この徳島線と来月就航する仙台線により、GBAのネットワークは日本の5都市に拡大する。徳島県庁の多大なる支援のおかげで、この新路線を実現することができた」と謝辞を述べた。
フライトスケジュールは月曜・水曜・土曜の週3便。香港発(HB352便)は、10時50分発-15時20分徳島着。一方、徳島発(HB353便)は16時20分発-20時5分香港着。機材は、737-800型機を使う。
初の定期便就航に当たり、徳島県観光政策課の喜羽宏明課長は「徳島県にはSNSと呼ぶ3つの要素がある。阿波藍の産地・青色LED発祥の地としての『サステナブル』、豊かな自然環境がもたらす『ナチュラル』、四国遍路発心の地としての『スピリチュアル』がある」と説明し、「ゼロウェイスト」を掲げる上勝町や、昨年開校した学費を実質無償化している神山町に開校する5年制の私立高等専門学校などの要素もあることも挙げ、「これまでもたくさん香港人に来ていただいている祖谷渓・大歩危以外にも魅力があることもアピールしていきたい」と意気込む。