尖沙咀ビクトリアハーバー沿いにある香港藝術館で現在、台湾の彫刻家・朱銘(Ju Ming)さんの個展「Ju Ming - Sculpting the Living World(刻畫人間-朱銘雕塑大展)」を開催している。康楽及文化事務署(LCSD)と朱銘美術館の主催で、香港で開催する個展としては過去最大規模。
朱銘さんは1938年に台湾の苗栗県で生まれ、アジアの主要都市のほか、ヨーロッパやアメリカでも個展を開き、「太極拳シリーズ」で一躍名を押し上げた。今回紹介する「人間シリーズ(Living World Series)」は完成までに30年をかけた大作シリーズで、作品数120セットを香港で公開している。
同展では、木、粘土、石、銅、ステンレスなど異なる素材を使って、人々の日常や家族、社会の異なる役割を表現した作品を展示。老人が孫と遊ぶ様子や、行列に並ぶ人の感情、勇敢に戦おうとする軍人の思い、ダンサーやスイマーの美しい姿など、人生の喜びと苦難を表現しているという。
50センチ程度のものから、等身大を超える大きさのものまで形はさまざま。いずれの作品も個や集団で生きる人間界の瞬間を捉え、まるで動き出すかのような空気を醸し出しているのが特徴だ。また、「人間シリーズ」の中でも「収監」と「立方体」という朱銘さんの転機となり飛躍的発展の基礎となった2つの作品も展示する。
そのほか会場では、朱銘さんが工房で作品を制作する様子を映像で紹介するコーナーも用意。広大な自然の中に作品を置く台湾の朱銘美術館に倣い、2つの展示会場だけでなく同館周辺にも作品をディスプレーし、通行人も作品の一部となり記念撮影ができるように設置している。
開館時間は10時~18時(土曜・日曜・祝日は19時まで)。木曜休館(祝日の場合は開館)。同展への入場料は20香港ドル(水曜のみ10香港ドル)。6月15日まで。