南オーストラリアから香港に寄贈される8匹のコアラの飼育場所に決定していた「香港オーシャンパーク」が、今年中にコアラを飼育する施設兼アトラクション「アドベンチャー・イン・オーストラリア(Adventures in Australia)」をオープンすると発表し、その全体像を明らかにした。
香港にコアラが寄贈されることが発表されたのは2011年。南オーストラリア州が友好のシンボルとして送ることを決めていたもので、同パークは餌の確保のために中国本土にユーカリ園を作り、香港にその一部を移植するなどして準備を進めてきた。ようやくめどもたち、昨年末から施設施工に着手して今年中にオープンする予定だ。
香港に渡ってくるのは、南オーストラリアのクイーンズランド州からビクトリア州辺りに分布するコアラ3亜種の中で最も大きく体毛も長いビクトリアコアラ8匹。体長はオスが約78センチメートル、メスが70センチメートルほどで体重は10キログラム前後。野生で約12年生きるという。
場所は海沿いで、古き良き香港にタイムスリップできる雰囲気の広がる「オールド・ホンコン」内、現在のグレートエンターテインメントシアター(Great Entertainment Theatre)付近で、面積は約5000平方メートルに及ぶ。施設内はオーストラリアの自然生息地を再現するように作られ、ユーカリの香る空間の中でオーストラリアの世界にどっぷりつかることができるように工夫する。
壁にオーストラリアの風景を描き、木製の通路を自然の中に用意して、来場者が歩くことができるようにし、近くで自然やコアラを見ることができる。湿度や温度はコアラが自然に生息するものと同じように設定し、施設内にはコアラの保育室やユーカリの保管スペースなどを備える。
コアラは通常のエサとして、1匹1000本のユーカリの木を必要とするといい、ユーカリは5種を中国・広州で育て、同施設オープン後も広州から香港のオーシャンパークまで運ぶ予定だという。2.7ヘクタールに8000本を移植し、不測の事態に備え、香港でも400本を管理する。
施設内では教育プログラムやインタラクティブゲームの開催など、さまざまなプログラムも用意する予定。