尖沙咀にある香港藝術館4階では、6月20日、中仏国交樹立50周年を記念して「Paris.Chinese Painting - Legacy of the 20th Century Chinese Masters(「巴黎.丹青――二十世紀中國畫家展」」が始まった。主催は康樂及文化事務署、香港藝術館、パリのチェルヌスキ美術館及びギメ東洋美術館。
同展では、徐悲鴻さん、林風眠さん、潘玉良さん、常玉さん、丁雄泉さん、趙無極さん、朱德群さんなど、20世紀にフランスの影響を受け、中国絵画に西洋画の技法を取り入れた画家の作品を展示する。パリの街並みを表現した会場には、中国の画家の作品が97点、水墨画、油絵、リトグラフなど多様な作品を紹介するほか、油絵に水墨画の技法を取り入れた絵画や、中国の毛筆を用いてフランスの絵画を描いた意欲作など、さまざまな東西文化の融合が垣間見られる。
四川省内江出身で台湾・近代の書画家である張大千の作品が6点、掛け軸で紹介され、大胆な筆さばきの作品、繊細に山の稜線などを描いた作品など幅広い技法が鑑賞できる。日本に赴き染色を学んだこともあるなど、林風眠と並び日本の影響も受けた作品も並ぶ。このほか、張大千が晩年に水墨画を描いた時の映像放映も。
同展代表作品のひとつとして、プログラムの表紙を飾るのは中国人女流画家潘玉良さんの作品「Seatd Nude(坐着的裸女)」だが、ヌードをモチーフにした作品の展示も多い。西洋文化を中国が受容する歴史の中で、劉海粟さんを中心とした西洋を学んだ中国画家が古い習俗としての儒教道徳をベースがある中国に持ち込んだ西洋の「ヌード芸術」が、国家の体制や「四清運動」、「文化大革命」などのさまざまな困難な環境、知識階級と行政側、進歩思想と封建・保守思想の衝突の中で保存されてきたからだ。
オープニングセレモニーに出席した香港政府のキャリー・ラム政務長官は、「今年で22回目を迎えた現在開催中のフレンチ・メイはもっとも長く続くアジアに向けてのフランスの国際交流イベントとして定着しているが、今回の展示も20世紀おける2カ国間の密接な関係性を示す意義あるイベントのひとつ」と話す。
会場にはカフェ風に仕上げた閲覧スペースもあり、各画家の作品集などを鑑賞することもできる。
開館時間は10時~18時(土曜・日曜・祝日は19時まで)。木曜休館(祝日の場合は開館)。同展への入場料は20香港ドル(水曜のみ10香港ドル)。9月21日まで。