38の国と地域から約1000社が出展するワインや酒のエキスポ「インターナショナルワイン&スピリッツフェア」が11月6日~8日、香港コンベンション&エキシビションセンターで開催された。主催は香港貿易發展局(HKTDC)で、発表によると期間中5万人、前年比30%増の入場者を記録した。
会場には初出展のベラルーシ、コロンビア、マケドニアをはじめ、会場を大きく占めるフランス、ドイツ、イタリア、オーストラリアのブースなどが目立ち、各国パビリオンを設置して会場にワインや酒の香りが漂うエキスポとなった。2014年1月から8カ月間の香港におけるワイン輸入額は7億1300万米ドルで順調に推移している。
日本関連のブースは日本貿易振興機構(ジェトロ)が設置したジャパンパビリオンに集まり、日本酒や焼酎などに加え、日本のワインやウイスキーも初めて紹介された。日本酒については、すでに多くの銘柄が流通する香港市場を意識して、オーソドックスなメーン商品だけでなく、色や形が変わったものなどを紹介する企業も増えた。
京都の招徳酒造は、大吟醸など香港に流通済の商品だけでなく、京都府立京都すばる高校の生徒と共同開発したノンアルコールの甘酒「米の花小町」を紹介。同社の木村紫晃社長は、開発に携わった11人の生徒と一緒にブースの前に立った。10月24日に出来上がったばかりの同商品を自ら紹介することに挑戦した生徒は「乳酸やゆずジャムを入れるなどして、いろいろ試しながら商品を作った」と開発過程を振り返り、「自分たちが共同開発したものが、海外のバイヤーに直接紹介できるのはとてもうれしい」と満面の笑みを浮かべた。
「富乃宝山」を製造する西酒造の工藤隆司さんは「焼酎の市場はまだまだ。酒を比べてアルコールが強すぎると話す人も多い」と香港市場の反応について話しながらも、「日本食レストランだけでなく、中華でも広東料理や潮州料理と合わせたらいいと思う」と料理との相性を考え売り込む姿勢を見せる。
初めて同エキスポで日本のウイスキーを紹介した笹の川酒造の山口恭司さんは「日本のウイスキーは注目度が高い」と感触を語り、ワインを紹介した「まるき葡萄(ぶどう)酒」の芦原徹さんは「初回の導入は商品の良さがあればいけると思うが、そこからの継続がポイント」と気を抜かない。
大きなパビリオンを構えたスペインブースでも同ブースを担当するイグナシオ・イマスさんは「スペインタパスの店なども増え、香港の売り上げは大きく上昇している」とパビリオンの規模を大きくした理由を話すと同時に、「スペイン国内の消費は減少傾向が続くため、われわれは日本でも積極的に販売したく、そのつながりをつくることもできる」と国際的な香港でのエキスポへの出展の意義について話していた。