割烹(かっぽう)料理店「俺の割烹」(6/F., California Tower, 32 D’Aguilar Street, Central, Hong Kong TEL 2328 3302)が2月26日、蘭桂坊の新名所、カリフォルニアタワーにグランドオープンした。経営は東京を中心に「俺のイタリアン」などを経営する俺の株式会社(東京都)。
過去には三ツ星の割烹で腕を振るっていたこともある島田博司総料理長
「俺の」シリーズはフレンチ、イタリアンだけではなくそば、焼き肉など10以上の業態を持つグループに成長。香港進出に当たっては100店以上の中華料理店を経営し、ポッカ香港の65%のシェアを持つ小南国餐飲をパートナーとして迎えた。「俺の」シリーズといえば高級な素材を一流のシェフが調理するにもかからず、リーズブルな価格で食べられることで人気を博している。急成長を遂げた理由は、立食形式で客の回転を上げ、収益を上げる方法。しかし香港店は立食59席、座席147席と座席数が多い。「和久傳」「麻布幸村」など一流料理店で働いてきた島田博司総料理長は「4回転位しないと厳しいので座席は最大2時間と時間制限をしている」と話す。
素材は9割が日本からの輸入。しかし価格は日本の店よりも2割アップ程度に抑えた。「卸を通さず自社で素材を直接買い付ける。グループとしてそれなりの経営規模があるのでスケールメリットが生かせるから」と話す。本社サイドで注文の量を香港店分だけ増やせばよく、仕入価格が安くなる。「上位20%位の裕福層を対象にしたビジネスも、それはそれでいいと思う。でも私たちはおいしいものを一般の方にも食べていただきたい」。「手間をかけずにコストを下げられるのは当たり前。この環境下で料理をしていくのは、やりがいがある」とも語り、メニューに妥協はない。味の安定の鍵を握る料理人は日本人シェフ3人が常駐。島田総料理長と一緒に働いたことがあり10年来の付き合いという李文健さんを副主厨というポジションにつけ、味の管理体制に万全を期す。ホールスタッフを含め主要メンバーを日本で研修させたという。
「さばずし」(60香港ドル、2個)はすしが見えないほどの大きなのりで覆われているのが特徴。のりの内側には厚さ1センチはあるサバがしゃりの上に載っている。「焼津産のサバで年間2000匹しか取れない。それを私たちが全て独占して買い付けている」と希少性をアピール。
「からすみそば」(90香港ドル)は、高級珍味のからすみを焼き上げ、それをすり下ろして粉末状にし、特製の汁がかかったそばと合わせたもの。香港では水の問題もあり、そばは日本で作ったそばを香港に持ってくることにした。
「天ぷら盛り合わせ」(240ドル)は、エビ2尾、キス、かき揚げ、アスパラなど季節もの7品をきれいに盛り付け、季節によって変わる。エビは丼に入れてもはみ出しそうなほどの大きさで、それをほうじ茶と混ぜた塩につけて食べる。日本酒は愛媛の武田酒造が醸造する「媛一会」(349香港ドル)が「おすすめ」で、愛媛の純米吟醸酒が香港で飲めるのはここだけだという。
ランチはセットも用意し、「焼き魚セット」(130香港ドル)、「天ぷら&刺身セット」(260香港ドル)など。ランチ、ディナーともに予約も可能だ。
営業時間は、ランチ=12時~15時、ディナー=17時~翌1時(金曜・土曜は翌2時まで)。