九龍半島の佐敦にある食べ放題店「板焼郎」(5/F, Sino Cheer Plaza, 66 Parkes Street, Jordan TEL 3543-1183)で3月スタートした焼き肉、鉄板、刺し身、蒸し鍋、火鍋を組み合わせた食べ放題プランが連日満席となり、話題になっている。
同店を運営する拍板はほかにも食べ放題やバーを経営するが、同店は香港で6年間食べ放題を展開してきた。店内はいわゆる「日式」を感じさせる電飾と明るさで構成され、フロア全体に6つの個室を含めて200席以上。現在は予約で席が埋まるほどの人気を博している。
人気の秘密は1人178~218香港ドル(入店時間によって異なる)のセットメニューで、焼き肉、刺し身、蒸し鍋、火鍋の全てが食べ放題。制限時間は2時間だが、ビールやソフトドリンクも飲み放題。全て注文できる組み合わせメニューに一本化した。
オーダーは、顧客にもオペレーション上も分かりやすい、シート記入方式を採用。刺し身であればサーモン、ハマチ、トロ、北寄貝、ホタテ、甘海老(あまえび)、アワビなどの項目に数量を記入。シートは肉、鉄板、海鮮、天ぷらなど各種A~Lまでのシートがあり、自分で記入する。追加88香港ドルで、オイスター、アワビ、松葉ガニ、ホタテ、アメリカ産バラ肉が食べ放題にアップグレードできる。
「オイスターだけでも身がしっかりとしたカナダ産のものを毎日400個仕入れ、注文が入ってから殻を開けるから新鮮」と常家強(ケルビン)さん。「食べ放題なので、質を疑う人もいるから88香港ドルの食べ放題を追加するために、これらの食材をオイスターなら13香港ドル、アワビなら28香港ドルで試せる単品オーダーも受ける。香港では食べ放題だからこそ、確かめたい人が多い」と香港人のツボを押さえたメニュー構成にする。
香港でも昨年より流行(はや)る蒸し鍋は、まだまだ値段が高い店も多い。広東地方から伝わる下の鍋にスープを入れ、その熱で蒸すスタイルは、ハスの葉を敷いて、香りの演出も怠らない。刺し身も隙間がないくらいに盛り付け、テーブルの上ではドライアイスを使って演出する凝りようだ。ソースも焼き肉ソース、火鍋用のソース、わさび、しょうゆに加え、タイ式の魚露(ユーロウ)と呼ばれる魚と塩を漬け発酵させた醤にライムとガーリックを混ぜたオリジナルソースも用意する。
もともとは数年前に単価1,000香港ドル近くになる店をメニューもしっかり作り展開しようとしたが、「反応があまり良くなく、一般の消費者に和食をもっと楽しんでもらいたい」と気軽に楽しめる食べ放題店に戻した。多くの店で食べ放題がある中、差別化として全ての料理の組み合わせを思いついたという。「すべての人が豪華な和食が食べられるわけではないし、とにかく香港人が求めるスタイルを追求した結果こうなった」とケルビンさんは語る。
「団体で一テーブルであれば3つのコンロで全種類同時に楽しめるが、実は少人数では2時間で全部終わらないから、また来たくなる」と笑うケルビンさん。「香港だからまた次のプロモーションも考えないとね。刺し身は変化がないから鍋で責めようかな」と次なる仕掛けも考える。
営業時間は17時~翌2時。