天丼激戦区の東京・浅草の「下町天丼 秋光」が6月3日、銅鑼湾のラーメン街とも称される登龍街に香港店(13/F., Circle Tower, 28 Tang Lung Street, Causeway Bay、TEL 3580-0654)をオープンした。香港ではEN GROUPが運営する。
天丼の老舗「土手の伊勢屋」の流れをくむ同店。社長の谷原秋光(37)さんが高校時代のアルバイトから19年間勤め、守り続けた老舗の味を提供する。日本では一人での入店も多い天丼やだが、香港では4人席を中心に34席を配置した。
同店は今年に入り、2月開店のマレーシア店を皮切りに台湾、フィリピンと今後も精力的に海外出店を計画中だというが、香港店は2カ月前に突然決まった。「最後に出合った香港の話が一番スムーズに進み、スピード感があった」と振り返る谷原さん。「日本は浅草1店にして、海外に出店し世界に天丼を広げていきたい」という。
丼からはみ出すように盛り付けられる天ぷらの中でも一番の注目は穴子の天ぷら。海外進出をすでに果たす同店は、他の海外店では日本でさばいたものを真空パックで輸送する。しかし香港では築地直送の活穴子をそのまま持ち込み、調理場で一本ずつさばくスタイルで提供する。
直送された穴子は、最初に「目打ち」で頭を固定して打ち込み、倒した包丁で腹皮のみを残す。その後開いて、中骨の下に包丁を入れ、骨のみをきれいに切り離す。30センチほどにもなる穴子を一本一本丁寧にさばき、中骨もひもを結ぶように揚げることで見た目にも華やかな印象を与える。「さばき方次第で、身が熱くて、ふんわりした仕上がりにすることができる」と谷原さん。
同店の特徴は、ごま油で揚げる昔ながらのスタイルで、たれもかつお節と昆布をベースに濃いたれを加える。「えび天丼」(230香港ドル)はえび7尾と野菜天3種を組み合わせ、「穴子天丼」(230香港ドル)は穴子2本と野菜天3種の組み合わせ。ほかにも白身魚とイカのかき揚げ、エビ2本を載せた「天丼ーイ」(140香港ドル)、穴子1本、イカのかき揚げ、エビ1尾、野菜を組み合わせた「天丼ーロ」(190香港ドル)なども用意。野菜4種を2つずつ載せた「野菜丼」(130香港ドル)や、穴子1本、エビ1尾、野菜3種を少な目のご飯に載せた「天丼すみれ」(160香港ドル)などの女性向けメニューもある。
天ぷらはお任せの「五代目天ぷら」(250香港ドル)をはじめ、盛り合わせと単品があり、「クリームチーズと白身魚の天ぷら」「ジェルリーフとウニの天ぷら」(以上60香港ドル)など香港ならではのメニューも並ぶ。選択肢の多さを好む市場を意識し、刺し身やすしメニューも充実させた。ランチは前菜、スープ、サラダ、果物、ドリンクをセットにして提供する。
営業時間は、ランチ=12時~15時、ディナー=18時~23時。