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「香港フード・エキスポ」開幕 創意工夫を凝らした日本商材売り込む

香港が輸入禁止措置を緩和したばかりの栃木のいちごに注目が

香港が輸入禁止措置を緩和したばかりの栃木のいちごに注目が

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 夏の祭典「第29回香港フード・エキスポ」が8月16日、香港コンベンション&エキシビションセンターで始まった。今年は23の国と地域から1560の出展社が集まり、商用ホール、グルメゾーン、パブリックホールの3フロアに分かれて商談や販売を行う。主催は香港貿易発展局(HKTDC)。海外からの参加は1100社にのぼり、20日までの5日間(商用フロアは18日まで)開催される。今回は中国が提唱するシルクロード経済圏「一帯一路」構想にアプローチしたい出展社をサポートするため、ハラルゾーンの設置やセミナーなどの試みもある。

ジャパンパビリオンのオープニングセレモニー

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 ジャパンパビリオンを率いる日本貿易振興機構(ジェトロ)は、農林水産省「戦略的輸出拡大サポート事業」の一環として、8年連続8回目ジャパンパビリオンを設置した。133社に及ぶ企業や団体が出品。和牛、ブランド米、ナマコなどの一次産品から加工食品まで幅広い産品を並べ、さらなる輸出拡大を目指す。ジャパンパビリオンとしてもオープニングセレモニーが行われ、齋藤健農林水産大臣は「香港はありがたいことに日本から見ると農林水産物・食品の輸出額全体の四分の一を占める日本最大の輸出先であり重要な拠点」としたうえで、「農林水産品の輸出は単なる輸送ではなく、輸入側が輸出する側が気が付かなかったことを教えてくれる文化交流の場でもあり、今後もさらなる深化を期待する」と話し、「若いころから来ていた香港の料理は素晴らしいが、ここに日本の食材を使ってもらうともっと素晴らしくなる」と個人の思いも付け加えた。

 香港では7月24日、福島第1原子力発電所の事故を受けて茨城、栃木、群馬、千葉県産の野菜、果物などの輸入を禁止していた措置が緩和されたばかり。会場にはエキスポ開催2時間前に2度の放射線検査を受けて会場に届いた栃木のイチゴに注目が集まった。香港に向けては初のアプローチという「Farm大越」(栃木県宇都宮市)は、イチゴを端境期にも安定して供給できるようにと研究を続けてきたいちご農家。輸入緩和を受けて準備に取りかかり、出展にこぎ着けたという。同社の1.4ヘクタールの農場で年間90トンを生産する完熟弦付きイチゴを瞬間冷凍し、原料としてアプローチする。香りが強いイチゴを収穫から7~8分で瞬間冷凍することにより細胞を壊さず、また瞬間冷凍すると氷の粒も小さくなるため、口に頬張ればすぐに解凍され生のイチゴと同じような味わいを楽しめるという。大越匡益社長は「日本の国内の方がイチゴの生へのこだわりが強いかもしれない。海外の方が、発想が豊か」と話し、海外への販売経験がある顧問の中村正昭さんと共に海外への拡販を狙う。フリーズドライパウダーのイチゴも紹介し、ブースに立ち寄った齋藤大臣は「フレンチにも日本の懐石にも使えるような商品ですね」と新しい試みを評価した。

 同様に保存に工夫を凝らして出展したのは岡山県の「果楽」。香港でも人気の、わずか2週間しか収穫期間がない清水白桃を特殊フィルムの袋に果物の糖度と同じシロップを使って保存し、色や鮮度を保ちながら、皮付きのまま1年間提供できる保存技術を香港で初めて披露した。国内でも昨年サンプルを作り、今年が初めての商品化だと言い、海外輸送による傷みや店頭での接触のリスクを避け、本来の状態に近い形での提供を目指した商品に仕上げている。「一番難しい桃から実現できたので、今後も岡山の他の果物などにも応用して輸出にも役立てていきたい」と土居栄太郎社長は話す。

 開催時間は10時~22時(商用ブースは18時まで、最終日は17時まで)。入場料は、一般=25香港ドル、外国人=20香港ドル(12時までの入場は10香港ドル)、グルメゾーン入場の場合は、一般=40香港ドル、外国人=30香港ドル(同25香港ドル)。

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