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香港経済新聞が選ぶ2018年・香港十大ニュース

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 香港経済新聞編集部が選ぶ香港2018年の10大ニュースを発表する。

 香港経済新聞編集部が今年1位に決めたのは、廣深港高速鐵路(Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link)と港珠澳大橋(HZMB)の開通だ。政治的には民主派と親中派で分裂の度合いが深まるが、経済的には一体化がより進んでいるという象徴的な「上物」の完成だった。

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 1.廣深港高速鐵路と港珠澳大橋が開通(9月23日、10月23日)

 香港と広州を結ぶ高速鉄道の廣深港高速鐵路が予定より3年遅れて9月23日に開通した。香港の西九龍駅(West Kowloon Station)から深セン福田などを経由して広州南駅を48分と従来の半分以下のスピードで結ぶ。HZMBは10月23日に開通。40キロを超える橋のうち22.9キロは海上橋としては世界最長となる。この2つの建築物の開通で中国と香港の経済の一体化はより加速すると見られている。

 2、立法会の補欠選挙、民主派が2連敗(3月11日、11月25日)

 立法会の補欠選挙が3月11日と11月25日に行われ、民主派が現有議席数を確保できず2連敗を喫し退潮傾向が鮮明になった。立法会の宣誓証言関連で民主派議員6人の当選が無効になり、3月の補選では民主派は4議席のうち2議席の獲得にとどまった。残る2つのうち1議席を11月に争い、こちらも敗北。特に後者は民主派議員2人立候補する分裂選挙となり2人の得票数が親中派の当選者、陳凱欣さんに届かないという惨敗だった。

 3.今年も大型台風来襲。2年連続でシグナル10発令(9月16日)

 香港の気象台に当たる香港天文台(Hong Kong Observatory)は9月16日、超大型台風「山竹(Mangkhut)」(日本では台風22号)が香港に接近しシグナル10を発令した。シグナル10は2017年に続き2年連続で出された。尖沙咀(Tsim Sha Tsui)にあるインターコンチネンタル・ホテルでは入り口のガラスドアが強風で決壊したほか、6万本以上の木が倒れた。香港では死者は出なかったが、台風はグアム、フィリピン、台湾なども通過し計74人が死亡するなど大きな爪痕を残した。

 4、バスの事故相次ぐ(2月10日、11月30日、12月10日)

 2月10日、大埔公路(Tai Po Road)の下り坂を走っていた九龍巴士(KMB)が横転し19人が死亡、66人がけがをした。客が遅延についてクレームし運転手がスピードを上げたことでコントロールを失ったものと見られている。11月30日、長青公路(Cheung Tsing Highway)で空港に向かう作業員を載せたバスがハザードランプを点灯して路肩に停車していたタクシーに追突。死者5人、けが人32人だった。12月10日には長康街(Cheung Hong Street)の下り坂に停車したバスの運転手がサイドブレーキを忘れて下車。無人のバスは坂道を下り始め、歩行者を次々とはね4人が死亡、11人がけがを負うなど、バスの事故が相次いだ。

 5、茨城、栃木、群馬、千葉の農産物などの輸入規制緩和(7月24日)

 香港政府食物環境衛生署(CFS)は、2011年に発生した東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故を受けて茨城、栃木、群馬、千葉県産の野菜、果物などの輸入を禁止していた措置を、農林水産省による「放射性物質検査証明書」と「輸出事業者証明書」を添付すれば7月24日正午から緩和すると発表した。なお、福島県産は規制を継続している。

 6.香港の著名人が相次いで亡くなる(8月22日、10月20日、10月30日、11月2日)

 香港第2のデベロッパー、新鴻基地産(Sun Hung Kai Properties)の前主席だった郭炳湘(ウォルター・クオック)さんが10月20日、68歳で死亡した。李小龍(ブルース・リー)や成龍(ジャッキー・チェン)などを育てた映画プロデューサーの鄒文懷(レイモンド・チョウ)さんが11月2日、91歳で亡くなった。ほかにも、8月22日には日本商品を中心とした並行輸入品などを販売する「759阿信屋(おしんや/759 Store)」の創業者である林偉駿(Colis Lam)さん、小説家で「明報」の創業者である金庸さんが10月30日に亡くなるなど、香港経済・社会に大きな影響を与えた人物が相次いで天国へと旅立った。

 7.旧中環警察署の跡地を文化複合施設として再開発した「大館(Tai Kwun)」がオープン(5月29日)

 中環(Central)の荷李活道(Hollywood Road)にある旧中環警察署(舊中区警署)などの跡地を文化複合施設として再開発した「大館(Tai Kwun)」が5月29日に開業した。昔の刑務所を巧みに改修して、博物館としての機能のほかレストランなども併設。新たな観光スポットとして生まれ変わった。

 8.林鄭月娥行政長官がランタオ島南東部に大規模な人工島を建設する計画を発表(10月10日)

 林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官が10 月10日、施政方針演説を行い大嶼山(Lantau Island)南東部に1700ヘクタールもの大規模な埋め立てを行い人工島を建設する計画を打ち上げた。70万~110万人が住み、34万人分の雇用も生まれるという。住宅不足解消と経済効果を実現できる一石二鳥を狙った計画だ。

 9、旺角の歩行者天国、消える(2018年8月4日)

 運輸署は旺角(Mong Kok)の「西洋菜南街(Sai Yeung Choi Street South)」の歩行者天国について、8月4日を最後に閉鎖することを決定した。2000年の開設当初は事故減少と経済効果を狙った施策だったがパフォーマーによる騒音問題が発生し苦情が殺到。油尖旺区議会において歩行者天国を閉鎖決議が圧倒的多数で通過していた。

 10、李嘉誠さん、引退(2018年5月10日)

 香港最大のコングロマリット「長江和記実業(CK Hutchison Holdings)」と李嘉誠(Li Ka Shing)さんが5月10日の株主総会をもって引退した。後任には長男の李沢鉅(Victor Li)副主席が昇格した。香港フラワーなどで成功を収め、それまでイギリス系財閥が支配していた香港経済を、イギリス統治下の状況で中華系財閥が仕切ることを実現させた稀代の経営者だった。

 日港関係でみると、3月は河野外務大臣の訪港、11月にはキャリー・ラム行政長官の訪日など、2018年は深く順調な1年だった。行政長官の訪日の際には、ハイレベル交流の拡大や貿易関係強化を盛り込んだ日・香港間で初の共同声明が発出され、イノベーション、科学技術、教育など幅広い分野で交流、協力を強化していくことで合意されている。