「第43回香港国際映画祭(HKIFF)」が3月18日から15日間にわたって開催される。オープニングは張家輝(ニック・チョン)さん主演の香港映画「●黙的證人(Bodies at Rest)」が上映される。加えて、今年は世界的音楽家マイケル・ナイマン75歳の誕生日を記念して3月24日に香港フィルハーモニック・オーケストラとコラボした無料コンサートが浸会大学(Baptist University)で行われる事も決まった。
クロージングはフランスとベルギーの合作映画「以恩寵之名(By the Grace of God)」
香港のこの時期は、映画イベント「香港影視娯楽博覧(Entertainment Expo)」が行われ、HKIFFはその一つ。HKIFFで上映される作品はメジャーからインディーズ、名監督から新人監督、名作、ドキュメンタリー、アニメーションまで多彩なラインアップを誇る。今年は世界63の国と地域から集まった232作品を12会場で公開する。うちワールドプレミア5作品、インターナショナルプレミア3作品、アジアンプレミアが56作品を数える。
オープニング映画の「●黙的證人」は、検死官が死体の検死中に突然何者かが侵入し、遺体を持ち去ろうとするが…。香港映画ながら監督は「ダイハード2」「クリフハンガー」などでメガホンを取ったレニー・ハーリン監督。ハリウッドの監督が香港映画を作る珍しい映画となっている。
クロージングはフランスとベルギーの合作映画「以恩寵之名(By the Grace of God)」で、「第69回ベルリン国際映画祭」で審査員グランプリを受賞した作品。カトリックの僧侶が長年にわたり少年たちに性的行為を犯してきた事実を、30年余を経て訴訟に持ち込もうとした被害者たちの姿を描くもので、実際に起きた実話を元にしている。アジアンプレミアでもあり注目の作品となっている。
日本からは蒼井優さん、竹内結子さん、山崎努さんが出演する「長いお別れ」、夏帆さん、韓国のシム・ウンギョンさん、南果歩さんの「ブルーアワーにぶっ飛ばす」、柳楽優弥さん、小林薫さんの「夜明け」、加藤雅也さん、石橋静河さんによる「二階堂家物語」など、例年通り、多くの邦画も公開される。
海外作品で注目は、アカデミー賞外国語映画賞を2回受賞しているイランのアスガル・ファルハーディー監督による「人盡皆知(Everybody Knows)」。カンヌ国際映画祭のオープニング作品にもなったサイコスリラー。姉妹の結婚式のために故郷を訪れたラウラや久しぶりに家族や古くからの親友パコと再会する。しかし、ラウラの娘が突然何者かに誘拐されてしまう。主演はペネロペ・クルスとハビエル・バルデム夫妻。2人はオスカー受賞者でもあり、世界的にも話題となっている。
NHKの国際放送「NHK World」は香港でも見られるが、NHKの番組をHKIFFのプログラムの一つとして上映する。アニメ監督、宮崎駿さんに密着したものと、東日本大震災の後にカキの養殖場を再建し、植林活動をする日本人に密着したドキュメンタリー。
マイケル・ナイマンさんは、作曲家、ピアニスト、音楽評論家、オペラも作るマルチな才能を持つ音楽家だが、今回の誕生日の無料コンサートのチケットは香港フィルのサイトから申し込む。1人2枚までで、「ドン・ジョヴァンニ」「アンネの日記」などを演奏する。
通常料金は、會議展覽中心(HKCEC)、文化中心(Cultural Centre)、香港理工大學賽馬會綜藝館(Jockey Club Auditorium, The Hong Kong Polytechnic University)、Premiere Elements、星影匯(The Metroplex)、Festival Grand Cinema、MCL徳福戯院(MCL Telford Plaza)、the skyの週末=85香港ドル、大会堂(City Hall)、科學館(Science Museum)、藝術中心(Arts Centre)、大館(Tai Kwun)の週末=75ドル、平日(会場問わず)=55香港ドル。以下の作品は特別料金。「不老的戦(They Shall Not Grow Old)」=110香港ドル、「1900(上)(1900(Part 1))」「1900(下)(1900(Part 2))」「2001太空漫遊(2001:A Space Odyssey)」「無主之作(Never Look Away)」=100香港ドル、「殺上癒(That House That Jack Built)」「彼徳盧:血染曼徹斯徳(Peterloo)」=90香港ドル。
ほとんどの映画が見放題になり、優先入場や特典などが付くVIPパス(5000香港ドル)もある。チケットは各プレイガイドで販売中。4月1日まで。
●=さんずいに兄