カナダ西部のバンクーバーに本部を置くシンクタンク「フレーザー・インスティテュート」は9月12日、経済自由度を評価する「世界の経済自由度2019(Economic Freedom of the World: 2019 Annual Report)」で、香港が8.91ポイントで1位を獲得したと発表した。逃亡犯条例改正案に端を発するデモの影響があっても1位となった香港の底力を見せた。
世界には経済自由度を表す指数はいくつかあるが、毎年1月下旬から2月の上旬にかけてアメリカのシンクタンク「ヘリテージ財団」と経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」が「経済自由度指数(Index of Economic Freedom)」を発表している。2018年度は香港が25年連続で1位となっている。
フレーザー・インスティテュートは1996年に調査を始め、「政府のサイズ」「法制度と財産権」「通貨の健全性」「国際貿易の自由」「レギュレーション」の5分野を各10点満点で評価し、対象は162カ国・地域に及ぶ。
香港は、「政府サイズ」について8.19ポイントで12位、「法制度と財産権」は7.93ポイントで11位、「通貨の健全性」は9.63ポイントで15位だった。「国際貿易の自由」では9.33ポイントで1位、「レギュレーション」は9.44ポイントで同じく1位と2分野で世界1位を獲得した。レギュレーションは「クレジット市場」「労働市場」「ビジネス」の3分野にも細分化されており、「クレジット市場」では10.00と1位、「労働市場」では9.37ポイントで1位、「ビジネス」は8.94ポイントで2位と、いずれも高い数値となっている。
同シンクタンクは「民主主義を支持する人への暴力的な取り締まりなど、中国本土からの干渉の影響で法の支配が脅かされている」としたうえで、「依然として世界ナンバーワンである」と評価している。
一方、日本は7.86ポイントでルクセンブルクと並んで17位だった。「政府サイズ」=5.73(115位)、「法制度と財産権」=7.62(16位)、「通貨の健全性」=9.52(25位)、「国際貿易の自由」=8.18(28位)、「レギュレーション」=8.25(15位)。さらに細かいギュレーションでは、「クレジット市場」=8.69(75位)、「労働市場」=8.13(15位)、「ビジネス」=7.93(22位)という数字が並んだ。他の国を見ると、2位はシンガポールの8.71、3位がニュージーランドの8.50、中国が6.42で113位に、それぞれランクインした。
同リポートでは、ランキング1~40位の国・地域を「Most Free」と名付け、それらの1人当たりの平均所得も調査。その結果、3万6,770米ドルだった。以下、次のトップ40カ国・地域(42~81位。40位が2カ国・地域があるため)の「2nd Quartile」は2万2,082米ドル、その次の「3nd Quartile」(83~121位)は1万2,622米ドル、122~最下位の「Least Free」は6,140米ドルだった。平均寿命も調査しており「Most」は79.40歳、「2nd」は74.08歳、「3nd」が70.53歳、「Least」は65.20歳とLeastの国・地域の人は70歳まで生きられないという厳しい環境に置かれていることを明らかにしている。