香港政府の陳茂波(Paul Chan)財政長官、陳帆(Frank Chan)運輸及房屋局長、邱騰華(Edward Yau)商務及経済発展局長の3長官が10月22日、合同で記者会見を行い、飲食、小売り、物流、観光などの産業に20億香港ドル分の経済的追加支援を行うと発表した。その中で、香港市民が航空券を購入する場合120香港ドルの補助を出す計画などを打ち出した。
香港は逃亡犯条例改正案に反対する大規模なデモが6月に発生して以来、断続的にデモ活動発生し、5カ月以上続いている。邱騰華商務及経済発展局長が「10月15日までの半月の観光客数は半減している」と話すなど香港を訪れる観光客が大きく減っており、それに付随して小売業の売り上げは減少している。現在は地下鉄MTRが終電を早めたり、デモが発生すると近くを通るバスは運休または迂回(うかい)ルートを取ったりするケースがあり市民は外出を控えるようになった。香港人のライフスタイルとして外食をすることが日本人と比べても圧倒的に多く、餐飲聯業協会は「7~8月の2カ月で約200店が閉鎖した」とするなど、厳しい状況に追い込まれている。香港政府は今年に入って191億香港ドルと400億香港ドルの経済対策を策定していたが、新たな20億香港ドルを加えると香港経済に2%分の振興作用が働くと試算する。
観光対策としては香港市民が航空券を買った場合、1人120香港ドルの補助、香港を訪れる外国人が香港の宿泊施設に泊まる場合100香港ドルを支給する計画を明らかにした。邱局長は「まだ関連業界に打診に意見を聞いている段階で、決まったわけではない」としたが、現段階では、旅行代理店で購入することを条件とし、旅行代理店の割り当ても1社500人まで、上限を6万ドルとする案が浮上している。政府の試算では85万人に旅行客が対象となるだろうとした。別の方法としては、香港を離れる場合「離港税」や空港建設の費用を賄うための「機場建設費」が徴収されるが、その税金を免除するというアイデアもあるという。実際、香港市民の定義をパーマネントビザホルダーのみに限定するのか、労働ビザホルダーも対象にするのか、家族は含むのかという、適用範囲の問題があるという。補助を出す場合、どういう形で行うのか…例えば、支払時に差し引くのか、後日に還付するのか。もし還付するとしても、その方法はどうするのか、など細かな技術的な問題を解決しなければならないという。政府はできるだけ早く計画を確定し、早ければ11月から実行し2020年3月まで行いたい考えだ。
ほかにも、バス会社やフェリー会社などの燃料費の3分の1を6カ月間負担するほか、トラムも電気代の3分の1を補助したい考えだという。赤のミニバスとタクシーの場合はLGPガス1リットル当たり1香港ドルの補てんを受けることができるようにする考えで、合計13万人のドライバーが恩恵を受ける。レストラン、小売店には最大半年間、家賃の50%の補助する計画だという。