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香港政府、100億香港ドル投じ民生政策を提示 法定休暇が12日から17日になる可能性も

デモの影響による経済支援策を検討する香港政府

デモの影響による経済支援策を検討する香港政府

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 香港政府の林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官、羅致光労工及福利局局長、陳帆(Frank Chan)の3長官は1月14日、合同で記者会見を行い、10項目に及ぶ民生政策措置を発表した。その中で雇用条例に基づく年間12日の法定休日(Statutory Holiday)を年間17日に増やすことを検討するなどが盛り込まれている。

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 香港政府は逃亡犯条例改正案に始まったデモで落ち込んだ経済の影響を軽減するため、すでに中小企業、観光業、公共交通機関への支援など、これまでに4回にわたって企業救済を主眼にした経済支援策を発表してきた。今回は、香港市民の生活にターゲットを置いたもの。今回は約100億香港ドルを投じ、約100万人が恩恵を受けることができるとしているが、社会的な弱者の支援に重きを置いたものと表明。香港も人口の高齢化が進んでおり、適切な支援をすることで老後も安心して生活できる政策をするとも述べている。

 年間12日の法定休日(Statutory Holiday)を年間17日に増やすことについては、政府の試算によると5日休みが増えると従業員へのコストは1.7%上昇すると試算。企業の経済活動にも一定の影響を与えることから、今後、政府は労工顧問委員会を通じて企業側とも話し合いをしていくとした。

 公営住宅に住むことが決定している世帯は14万9500戸あるが、そのうち9万1900戸が3年以上、入居を待っている状態だ。これらの家族はその間、一般のマンションに住むことが多いが、公営住宅に入るまでに一部の家賃を補助する策を計画。2021年下半期から2024年までの3年間の実施で検討している。こちらには28億2,000万香港ドルかかると試算している。

 政府関係の仕事で外注を受けている労働者(例=清掃員や公衆トイレを管理する人)が満12カ月働いた時、報酬の6%を一時ボーナスとして受け取るほか、シグナル8で勤務する状況になった場合、通常の1.5倍の報酬を受け取ることも制定する考えだ。

従来の部屋をさらに区切った小さな部屋「●房(Subdivided units)」と呼ばれるスペースに現在、8万6500世帯が住んでいる。家賃や光熱費などで不利な契約を結んでいる事が少なくないため政府として賃貸管理制度を推進するとした。電気代、水道代の一部負担も考慮するとしている。

 MPFでは給料の10%が積み立てられるが、5%が労働者本人、残る5%は企業側が負担するが、月収7,100香港ドル以下の場合、労働者分については政府が代わりに負担する。

 現在、失業者が再雇用に向けた職業訓練学校に通う場合4,000香港ドルの助成金を得られていたが、それを5,800香港ドルにまで拡大するほか、高齢者向けの交通機関利用の優遇緩和では、2香港ドルで交通機関を利用できる優遇の対象年齢を65歳以上から60歳以上に引き下げる予定だ。

 これらにより香港政府の財政負担が増えることになるが林鄭行政長官は「2003年以来財政赤字に陥ったことはなく多額の財政備蓄があるため心配はない」とした。

 ●=當にりっとう

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