香港日本人倶楽部で1月17日、在香港日本国総領事館、香港日本人倶楽部、香港日本人商工会議所の共催で新年賀詞交換会が開催され、日系企業の関係者約100人が一堂に会し新年を祝った。
冒頭のあいさつで在香港日本国総領事館の和田充広大使は「香港と日本の関係は極めて良好。親日的な土地柄、日本の食文化、歴史、自然、観光はもとよりアニメをはじめとする文化も人気。当地の在留邦人の日頃からのたまもの」と香港と日本の関係について触れた。しかし、昨年を半年続いた抗議活動を回顧しながら、「総領事館として香港情勢を観察し、情報提供するとともに、お困りの点は香港政府とも話をしていきたい。外務省が出す渡航レベルにご関心あるかと思うが、当地の情勢を慎重見極めながら総合的に判断していきたい」と大きな影響を及ぼした逃亡犯条例改正案に端を発した一連の抗議活動についても言及。下火になったとはいえ、平和的なデモや集会が続いている状況を憂いながら、「親しい友人である我が国としては、香港の人に寄り添い、励ますことができれば」と語った。今年は東京におけるオリンピックパラリンピック、来年3月は東日本大震災から10年を迎えることにも触れ、震災時大きな支援をしてくれた香港社会に感謝しながら、「今年から来年にかけて、少しでも香港を明るくし、日香港間の交流を回復しより発展すべく経済文化さまざま分野での取り組みを積極的に進めていきたい」とした。「今年は5周年の秋祭りもスポーツ活動にも主眼を置きながら頑張りたい」とも。
続いて香港日本人商工会議所桜井知治会頭は和田大使と同様、昨年の激動の一年抗議活動は社会の混乱を招き、ビジネスや日々の運営にも大きな影響をもたらしたとしながらも、「金融センターとしての香港のポジションは維持されている。香港における航空貨物の取扱量はメンフィスを抜いてトップ。ユーロモニターが発表した主要海外都市来訪者数、依然としてトップ。香港が世界の中で経済自由度が高い地域であり、人々を魅了してきた国際的な都市としての力だろう」と香港が持つ潜在的な力の強さについて語った。中国経済の減速感の高まりや、中東の懸念など不透明感があるとしながらも、「これまでの既存ビジネスだけでなく、イノベーション、環境、医療、養老、新しい分野を開拓していくことで、香港の繁栄につなげていければ」と話した。積極的な情報発信により、日本にもさまざまなチャネルを活用してより多くの香港情報を発信し、これが日本の皆様の見方を和らげ、香港の回復の一助になるように努力していくという。
香港日本人倶楽部の嶋内義和理事長は、今年の干支(えと)である「庚子(かのえ・ね)」について触れ、「庚」は「前年のものを更新しつつ、庚は前年からのものを継承しつつ思い切って更新進化させることを意味し、子は新しい生命が種子の内部から芽生える状態である」と解説。「2020年は過去から引き継ぐべきものを継承し、時には改めることで、新たな飛躍への第一歩を踏み出す年」とまとめながら、「大湾区構想なども背景に各日系企業が計画などあると思うが、いよいよ実行に移していく年になるだろう」と予測した。
2020年1月現在、商工会の会員数は655社を数える。商工会議所は昨年50周年を迎え、香港日本人倶楽部は今年創立65周年を迎える。新年を迎え、街は落ち着きを取り戻してきた香港で、今年も日本企業が助け合い、支えあうことを願って会は幕を閉じた。