在香港日本国総領事館、日本貿易振興機構(ジェトロ)香港事務所と香港日本人商工会議所は4月20日、「第 3 回 香港を取り巻くビジネス環境にかかるアンケート調査」についての結果を発表した。昨年6 月から断続的に発生してい るデモ・抗議活動、さらには、今年1月下旬より影響を与え始めた新型コロナウイルスに伴いビジネス環境が大きく変化する中で、在香港の日系企業等の実態を把握し、取り得るべき対策を検討することを目的としたもの。4月3日~9日にネットを通じて実査を行い、304 社から回答を得た。
新型コロナウイルスの影響を受けている企業は約95%に及ぶ。米中貿易摩擦やデモ・抗議活動などの懸念材料については約50%の企業が「影響がある」とするものの、3カ月前の調査では、デモ以降多くの企業で状況は持ち直し、香港における日系企業の景況感は底打ちの兆しが見えていたが、今回の新型コロナウイルスでまた、状況がより悪化する恐れも出てきた。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、回答企業の約8割が勤務体系等の見直しを実施。約81%の企業が「時差出勤、時短勤務、時短営業」、76%の企業が「在宅勤務」を実施したという。加えて、一部の業種で「無給休暇の取得奨励」「事務所・店舗の休業」などもあった。
今後の業務遂行については、80%以上の企業が売り上げの減少への危惧はもちろん、香港の出入境制限、顧客訪 問等営業活動の制限を懸念していると回答している。香港政府に対する要望としては、「より広範な財政支援」(20社)、「中国本土や日本との往来禁止の早期緩和」(14社)、「新型コロナウイルスの早期収束と感染拡大防止策の徹底」(11社)を望む声が多く寄せられた。
このような状況下でも4月初旬時点では、「4~6月期は厳しいながらも、中国への輸出などが改善してくれば多少持ち直してくる」という前向きな見方もする日系企業もあるなど、感染拡大については、一定の施策が功を奏した感も広がる香港では、日系企業も経済活動の再開に向けて各社がタイミングを計っている。
総領事館、ジェトロ、商工会議所に対しては、香港政府の対応・措置などに関する日本語でのタイムリーな情報提供を求める声が多く、商工会議所は「今後も対応していく」と話す。