香港政府は4月28日、中国本土、マカオ、台湾からの全ての入境者に対する14日間の強制検疫措置について6月7日まで延長すると発表したが、一方で感染者数の増加が落ち着いてきたことから、連休明けの5月4日から公務員の在宅勤務についてはほぼ通常業務に戻すとした。
4月30日現在、感染者が1038人、死亡者は4人となっている。香港政府は4月28日、中国本土、マカオ、台湾からの全ての入境者に対する14日間の強制検疫措置については5月7日に失効することになっていたが、1カ月延ばして6月7日までとなった。食物環境衞生署(Food and Environmental Hygiene Department / FEHD)の陳肇始(Sophia Chan)局長は「外国から香港への入境者が陽性であるケースが出ており第2波への注意が必要であることから6月7日まで期間を延長する事を決めた」と話す。実際の発効は4月29日零時から。ただし、幼稚園や小学校、中学校などの香港の学校に通う児童生徒とその関係者、香港経済の発展に寄与する生産活動に従事する人や専門家に対しては検疫を免除するとした。
一方、林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官は同じ28日、過去4日間で2日連続して新規の感染者がゼロになったことなどを挙げ、緊急性を要する業務以外に従事する公務員は基本的に在宅勤務としていたが、5月4日から大部分を通常の勤務体制にするとした。これにより窓口業務も徐々に通常の営業時間に戻っていくとしている。ただし、康樂及文化事務署(Leisure and Cultural Services Department / LCSD)が運営する劇場などは依然として閉鎖を継続する。
屋外スポーツ施設、図書館、博物館などの公共施設は、4人を超える集会禁止の規則に抵触しないようにすることを前提で再開させるとした。会議や委員会などの再開も認めるが、式典など多くの人が集まる大規模イベントなどは引き続き禁止となる。
5人以上集まってはいけない措置については5月7日に期限を迎えるが、林鄭行政長官は「公衆衛生、市民の健康、香港経済などさまざまな要素を考えて決める」と述べるにとどまった。
このように段階的に禁止措置が緩和されるものの、依然として小売、観光、飲食業界の経営環境は厳しい。ファッションブランド「ESPRIT」はすでに中国からの撤退を決めていたが、4月27日に香港、シンガポール、マレーシア、台湾、マカオにある全56店舗を閉鎖する事を明らかにし、6月末までには撤退し、今後はドイツ、スイス、ベルギーなど240店舗を展開しているヨーロッパ市場に集中するという。
一方、日本政府は4月27日、香港・マカオに関する検疫の強化、ビザの制限等、航空機の到着空港の限定等及び到着旅客数の抑制の措置について4月末日に期限が来るが、5月末日まで延長することを発表している。