香港で携帯電話サービスを提供するスマートーン(SmarTone)社が5月26日、5Gサービスを開始した。香港では既に4月1日、香港テレコム(HKT)、ハチソンテレコム、チャイナモバイル香港が5Gサービスを始めており、4社ある全ての携帯電話会社の5Gサービスが出そろったことになる。
スマートーン社の5Gネットワークはスウェーデンのエリクソン社と提携しており、アジアでも初となるDSS(ダイナミック・スペクトラム・シェアリング)技術を導入。DSSは4Gの周波数を5Gで共用できるため、既に敷設されている4Gのネットワークを使ってそのまま5Gサービスを提供できるメリットがある。DSSは日本でも導入が検討されており、5Gエリアを低コストで拡大できる技術として期待されている。
同社の5Gの通信料金は2年契約時で月額398香港ドル。シンプルに1つだけの料金で展開する。音声通話は利用無制限、データ通信は100GBが利用可能。100GBの上限に達した場合、50香港ドルで10GBを購入できる。5Mpbsの低速度でデータ通信利用無制限になるオプションは80香港ドルとなる。
中国とマカオで利用できるローミングデータも2GBが付与される。加えて中国滞在時に便利な中国の携帯電話番号も無料で利用できる。
毎月の無料利用分は香港で初めてとなるサービスも提供。月の利用分が上限に達しなかった場合は翌月以降、2年契約の満了時まで未使用分が繰り越しできる。繰り越しの上限は500GBまで。例えば今月80GBしか使わなかった場合、20GBは翌月に繰り越され、翌月は120GBが利用できる。翌月に120GBを全く使わなかった場合、翌々月にその120GBが丸々繰り越され、220GBが利用可能になる。この料金繰り越しは中国・マカオのローミングデータ分にも適用される。ローミングデータの繰り越し上限は10GBまでとなる。
5Gは理論上1Gbps(1024Mbps)の超高速通信が可能だ。スマートーンの販売店でのデモでは500Mpbs前後と理論値ほどの速度は出ないものの、4Gに比べると10倍程度の速度を利用できる。5Gは遅延測度も少ないため、クラウドの利用にも適している。スマートーンは5G向けに4K動画配信やクラウドゲーム、VRサービスも提供している。時代を反映するかのようにオンライン会議システム「Zoom」とマイクロソフト「Teams」利用に関してデータ料金は不要。
駅やスタジアムなど利用できるエリアが限られる日本の5Gサービスと比較して、香港では主要な繁華街やショッピングモールが5Gエリアとなっており、同社の5Gも観光客が訪れる場所のみならず、住居エリアにも広がっている。地下鉄MTRや地下街などには、これから整備される予定だ。