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ブルース・リーも常連だった「新楽酒店」が閉鎖へ 新型肺炎などの影響で68年の歴史に幕

閉鎖がきまった「新楽酒店」

閉鎖がきまった「新楽酒店」

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 佐敦(Jordan)にあるホテル「新楽酒店(Shamrock Hotel)」(223 Nathan Road, Jordan, Kowloon, Hong Kong、TEL: 2735 2271)が6月14日、逃亡犯条例改正案に伴うデモと新型コロナウイルスの影響による観光客の激減で閉鎖することが明らかになった。李小龍(Bruce Lee)などのスターも多く通っていた老舗ホテルとしても知られている。

 新楽酒店は1952年に許讓成さんによって現在のMTR佐敦駅のC1・C2出口のそばに建設された。9000平方フィートの敷地に11階建ての建物で、延べ床面積7万平方メートル、客室160室の3つ星ホテルだ。許ファミリーは、このホテル以外でも樂斯酒店、百樂酒店(Park Hotel)、新新百貨などを経営していたことでも知られていた。当時、通りを挟んだ弥敦道218号にあった唐楼に幼少期のブルース・リーが住んでいた。

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 ホテル内にあった広東料理の店は多くのセレブが訪れ、時を経てブルース・リーも訪れていたが2015年に閉店。ホテルは閉鎖さされるものの、ライセンスの有効期限はまだ残っており労工処(Labor Department)は「雇用条例」が遵守されるかどうか注視するとしている。

 同ホテルは2018年3月に30億香港ドルで売りに出されており、ある人物が27億香港ドルで落札した。跡地はクリニックが集まるビルに建て替える計画が持ち上がっているという。

 香港内の新規感染者は落ち着いているが、香港政府は厳しい入境制限を課したことで感染者数を抑えたという経緯がある。金融、観光、貿易と物流、プロフェッショナルサービスとその他商工業支援サービスの4つが主要4産業といわれる香港だが、そのうち観光は域内総生産(GDP)の約5%を占める。

 香港政府観光局によると2020年4月の観光客は前年同月比99.9%減のわずか4125人。1月~4月の累計でも2381万1581人から349万3335人と前年同期比85.3%の大幅減となった。4月のホテル稼働率は34%と発表されている。

 2019年6月から逃亡犯条例改正案のデモで本格化したことで観光客が減少し、その上に新型肺炎が流行して、世界の国々と地域が入国/入境制限を設けて観光業界は壊滅的な状況だ。それは香港の独特の環境も拍車を掛けている。香港観光はインバウンドとアウトバウンドしかなく、「国内旅行」という概念が無い。日本であればインバウンドが厳しくても、国内旅行で収益を上げることができるが、香港はそれができない厳しさがある。フォーシーズンズなどをはじめ外資系有名ホテルはホテルのサービスを楽しんでもらおうと香港市民を対象にした「ステイケーション」でさまざまな宿泊プランを提供しているが、約740万人という香港の人口規模ではインバウンド需要の減少をカバーできるほどではない。

 民生事務総署(Hong Affairs Department)の管轄下にある牌照事務処(Office Of the Licensing Authority)によると、2月~5月の間、23のゲストハウスと1つホテルが宿泊ライセンスの継続申請を行っていないことが明らかになっており、事務手続き上は24の宿泊施設が閉鎖することが判明したことになる。

 香港政府は6月2日、外国から戻ってきた香港居民は14日間の強制隔離の義務付けを9月18日まで延長し、非香港居民に関しては無制限で入境禁止を継続することを決定している。香港酒店業協会(Hong Kong Hotels Association)の郭志傑執行総幹事は「神様でさえ救うのが難しい。閉鎖の連鎖が来ることを心配している」と話し、今後の香港観光業界は一段と厳しい状況に追い込まれることが確実な情勢だ。

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