香港政府統計処が7月30日、「香港的女性及男性主要統計数字 2020年版」を発表した。これによると香港市民の2019年の月収の中位数は前年比で600香港ドル増の1万7,100香港ドル。1991年と比較すると6,000香港ドル増えた。この調査によると、3万香港ドルを受け取る人の増加が顕著であるとしたが、平均価格が1億円を越える世界で最も高額な不動産市場ということを考えると、それでも購入するには厳しい数字であることが分かる。
この統計は統計処が毎年発表しているもので、人口、教育などさまざまな分野について男女別で約390ページにわたって非常に細かいデータを提供しており、現在の香港社会を理解する一助となっている。
2019年の男性の中位数は前年と同じ2万香港ドル、女性は800香港ドル増の1万4,300香港ドルで、女性進出が日本より進んでいる香港でも依然として格差があることが分かる。1週間の労働時間で見ると中位数(ヘルパーは除く)は44時間となるが、男性は45時間、女性は40時間と5時間の差がついた。さらに管理職についている人の割合は男性が多く、女性は事務職が多いなどの要因から、男女の収入差が5,700香港ドルになったとした。
労働者数は、男性が前年比3万3500人減の190万9100人、女性が同1万6400人増の194万0800人で、合計384万9900人。女性の就業者は増えたものの男性が大きく減ったため1万7100人減少した。
収入幅トップ3(外国人メイドを除く)で見ると、男性で最も多いのが3万香港ドル以上で59万人(前年は57万7300人)、続いて2万~2万9,999香港ドル=43万1900人(同42万7100人)、1万5,000~1万9,999香港ドル=36万6800人(同37万7800人)、1万~1万4,999香港ドル=33万1700人(同36万1300人)。1万~1万9999香港ドルの給与所得者が減少し、2万香港ドルの以上の労働者の人口が増えたことが明確になった。
女性では、3万ドル以上が38万4800人(同35万7100人)とトップになった。2位は1万~1万4,999香港ドルが37万4500人(同39万5700人)、以下、1万5,000~1万9,999香港ドル=28万5400人(同26万5700人)、2万~2万9,999香港ドル=27万7500人(同26万3000人)。
給与区分で最も高い3万香港ドル以上が大幅に人数を増やしてついにトップに立ち、逆に1万~1万4,999香港ドルは人数が減ったことから女性の給与も高い方に振れたことがわかる。
産業別(同)でみると、男性で最も高い中位数はファイナンスで4万1,000香港ドル、続いて、公務員=3万3,000香港ドル、教育=3万香港ドルだった。トップ3はいずれも3万香港ドルの大台を超えた。女性は、公務員=3万200香港ドル、ファイナンス=3万香港ドル、教育=2万4,000香港ドル。女性は公務員とファイナンスは毎年のようにランキングが入れ替わっており、2019年は公務員がトップだった。
職務内容的(同)には、男性は専門員=4万8,000ドル、経理・行政関連=4万5,000香港ドル、専門員のサポートをする準専門員=2万2,500香港ドルだった。女性では専門員=4万5,000香港ドル、経理・行政関連が4万300香港ドル、準専門員が2万2,500香港ドルとなっている。
学歴別の中位数(同)では、昔の制度ではSecondary 7、新しい制度ではSecondary 6(いずれも18歳)の卒業では、男性=1万8,000香港ドル、女性=1万5,000香港ドル、専門学校レベルであれば男性=2万香港ドル、女性が1万7,900香港ドル、大卒以上では男性=3万3,500香港ドル、女性=2万9,200香港ドルだった。
年齢別の中位数(同)で最も収入が多かったのは、男性40~49歳=2万5,000香港ドル、女性は30~39歳=2万香港ドル。アルバイトのような時間給で働く労働者を見ると、香港では2011年5月から最低賃金が条例化されたが、中位数は男性=81香港ドル、女性=64.7香港ドルに増えている。