林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官、食物及衞生局の陳肇始(Sophia Chan)局長ら政府高官は4月12日、新型コロナウイルスの防疫対策が4月14日で期限を迎えることから今後の防疫対策について、これまで実施されている方策を4月28日まで延長すると発表した。併せて、ウィズコロナでの経済活動を見据え「ワクチンバブル」の概念について発表した。
香港は14日現在、累計感染者数が1万1613人、死亡者は209人、回復者1万1237人、新規感染者は5人となっている。
公衆での集まりを制限する「限聚令」は最大4人、公共の場や公共交通機関でのマスク着用義務、「安心出行」のQRコードを店舗入り口や目立つ位置への設置、利用客はQRコードのスキャンまたは個人情報の提供についての変更はない。
レストランの店内飲食禁止は22時~翌朝5時、収容人数の50%と1卓当たり4人まで。スポーツ施設、フィットネスジム、美容院・マッサージ店 、娯楽施設(劇場、テーマパーク、博物館、展覧会場、映画館など)、アミューズメント施設(ビリヤード場、ボーリング場、アイススケートリンク)、ゲームセンター、ホテル、スイミングプールとビーチは、それぞれに指示された条件付きで営業が認められる。一方、サウナ、パーティールーム、バー・パブ、ナイトクラブ、カラオケ、マージャン店などは依然として再開不可のままだ。
林鄭行政長官は「ミニロックダウンをこれまでに36回行い、ワクチン接種の1回目を行った人は57万8000人。2回目は25万人に上っている。今後は段階を踏みながら正常な生活に戻っていく方策を考える」とした。
その一つとして「疫苗氣泡(Vaccine Bubbles)/ワクチンバブル」を掲げた。これは、ワクチン接種などを前提とした各種防疫措置の段階的緩和のこと。PCR検査については、陰性証明書が付く240香港ドルで提供するものについてはサービスを継続するが、証明書が付かない無料検査は停止する。
「飲食」については、第1段階として、従業員全員がワクチン1回目を接種、全顧客が「安心出行(LeaveHomeSafe)」アプリを利用した場合、1卓利用を6人まで、店内飲食を午前0時まで可能となる。安心出行の代わりに店が用意した紙に個人情報の記入を求める「寫紙仔」は認めない。ただし、全座席数の50%、宴会の人数は最大で20人は変更しない。
第2段階は、全従業員がワクチンを2回接種、全顧客がワクチン1回目を接種しかつ「安心出行」を利用した場合、「Clean Zone」と呼ばれる店の限定エリアで1卓あたり8人まで可能で、宴会人数も上限を100人になり、店内飲食時間は午前2時まで拡大できる。
第3段階は、Clean Zoneにおいて全従業員と全顧客がワクチン2回接種済みの場合、1卓の人数制限をさらに緩和する。政府としては1卓12人でも問題はないだろうとしている。
営業停止中のサウナ、パーティールーム、バー・パブ、ナイトクラブ、カラオケ、マージャン店については、ワクチン接種レベルに応じて段階的に営業を認める方向。全てが飲食店と同じではなく、バーなどは第1段階と第2段階は条件が満たせばすぐ移行できるわけではない。8週間の間隔を空けた後に実行できる可能性が検討されている。ただ、さらに研究が必要とし、経営的なダメージも大きいため、新たな補償についても策定し、詳細を後日発表するとした。
「隔離措置」については4月9日から低リスク地域に指定されているオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールからの入境者は21日から14日間の政府指定ホテルでの強制隔離となり、7日間の自己健康管理期間とする。ワクチンを接種済の場合は強制隔離が7日となる。日本を含む中リスク地域は、入境前にワクチンを接種していた場合には政府指定ホテルでの強制隔離が14日に短縮される。
「トラベルバブル」は、ワクチン接種を終えた香港市民のみトラベルバブルのスキームに参加可能で、香港政府と外国政府が同意すればホテルでの強制検疫の期間短縮などが可能になる。
「中国本土との往来」に関しては、越境貨物車両の運転手がワクチン接種済みであれば検疫免除またはウイルス検査義務の緩和を行う。香港居民が広東省から入境する場合、検疫を免除する仕組み「回港易(Return2hk)」については、4月末までに対象地域を中国本土の他地域にも拡大する。5月からは中国本土の人が香港に入境する際の検疫を免除する「来港易」を実施する。
併せて香港政府は4月11日、18歳以上の永久居民を対象にした5,000香港ドルの電子マネーについてのプラットホームを「八達(Octopus)」「支付寶香港(AlipayHK)」「Tap & Go」「WeChat Pay HK」の4つにすると発表した。夏ごろから登録を受け付ける予定だが、詳細は後日発表するとしている。