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香港に海岸公園初のビジターセンター 香港の海について学ぶ

周囲の自然に溶け込むようなデザインに仕上げたビジターセンターの外観

周囲の自然に溶け込むようなデザインに仕上げたビジターセンターの外観

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 海外への旅行が困難となり香港域内観光が注目を浴びる中、香港で初めて海岸公園のビジターセンター「海下遊客中心」(Hoi Ha, Sai Kung, Hong Kong)が7月、西貢西郊野公園内にオープンした。

海岸公園の海中をVRで体験できる展示「Into the Sea」

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 香港は世界でも最も混雑した港の一つで、近年では減少傾向にありつつも1980年代よりコンテナの取扱量では常に世界のトップ10にランクインしてきた。そんな香港の海洋は汚染が進んでいると思われがちだが、世界的に希少なピンクドルフィンが生息するなど保護活動により一部は美しく保全されている。現在、香港は6の海岸公園と1つの海岸保護区を制定しているが、西貢の西部に位置する海下灣海岸公園は1996年7月に制定された。

 260ヘクタールに及ぶ海岸公園で約60種類のハードコーラルと120種類のコーラルフィッシュが生息することで知られる香港でも随一の海洋の生物多様性を誇るエリアだ。この海岸公園から徒歩10分の距離にある西貢西郊野公園に今回、海岸公園初めてのビジターセンターがオープンした。漁農自然護理署(Agriculture, Fisheries and Conservation Department)の管理の下、周辺地域の情報の発信基地となるほか、漁農自然護理署が各地の海岸公園と海岸保護区で実施している研究調査の成果の紹介も行い、海岸公園を制定する意義や海洋保護への関心を高めることを目的としている。

 バーチャル・リアリティー技術を採用した展示「Into the Sea」は海岸公園の海中を探索できるインタラクティブな展示で、拡張現実(AR)を利用「Hoi Ha Coastal Safari」は海下灣海岸公園の豊富な生物多様性を目の当たりにできる展示となっている。展示ホールでは教育目的に海岸公園の管理、保護活動、海洋生態系などに関する情報も紹介している。

 伝統的な農村のデザインを設計に取り入れた同センターは、新型コロナの影響によりオープンを遅延していたため、オープン前の昨年11月時点で「Hong Kong Institute of Architects Annual Awards 2019/20」の会長賞を受賞し、既に話題になっていた。公共施設の建築を担当し、「海下遊客中心」の建設も担当した建築署の建築師の劉天行さんは「周囲の美しい自然環境にいかに溶け込み、来館者が自然を感じられる空間となるかを考えると同時に森林に囲まれた立地を生かすように、木の伐採をなるべく避け、来館者が木陰でピクニックなどを楽しめるような空間にした」と話す。

 デザイン面だけでなく、使った素材も可能な限り自然由来で環境に配慮したものを採用している。例えば、日除けには木製の薄板を採用したほか、天井や床も木を使うことで素材の天然の効用を利用して室内の温度を下げる。ソーラーパネルやソーラーランプを取り入れセンター内の使用電力の一部を賄うほか、雨水のリサイクルシステムなども取り入れ、環境負荷を抑え環境に配慮したシステムを積極的に採用した。

 将来的にはガイド付きツアーやワークショップなどを開催予定。

 営業時間は9時30分~16時。火曜日定休(祝日を除く)。

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