機場管理局(AA)が9月7日、香港国際空港(HKIA)「第3滑走路(3RS)」の竣工式を行った。早ければ2022年下半期から供用を始めたい考え。併せて第3滑走路に合わせた新しいターミナル「T2客運廊(Terminal 2)」も建設も進んでいる。同日、香港政府と中国政府の肝いりの新しい航空会社「大湾区航空(Greater Bay Airlines / GBA)」の最初の機材がHKIAに到着した。
1998年にオープンしたHKIAは世界有数の国際空港として開設。イギリスに拠点を置く航空サービス調査会社、スカイトラックスはHKIAを2000年前半には何度も世界一の空港として選出した。新型コロナウイルスの前は年間8000万人が利用するなど世界屈指のハブ空港として知られていた。
しかし、航空需要の高まりから発着能力が限界に近くに達したため、香港政府は現在の滑走路の北側の海をビクトリアパーク34個分に相当する650ヘクタール分埋め立てる形で第3滑走路の建設を決めた。2016年8月に工事を始め、総工費は約1,415億香港ドル、全長は3800メートル、幅60メートル、路面は厚さ1メートルにも及ぶ5層構造で、飛行機の離着陸やターミナルへといざなう1万4000個の滑走路灯などを設置している。空港全体の地盤沈下の問題が発生しており、その対策工事も併せて行っている。
第3滑走路に合わせて建設中の新しいターミナルであるT2は2024年に完成予定。広さは28万平方メートルで、63機が駐機可能。年間3000万人の乗客取扱能力があることからHKIA全体で年間1億2000万人の乗客の利用が可能となる。航空貨物の処理能力も年間約500万トンから1000万トンに引き上がる。
現在、T1の東側に小売店、ダイニング、エンターテインメント施設が入る「航天城(SkyCity)」の第2期の建設を進めているほか、オフィスタワー、ロジスティクスセンターの工事も予定しており、全てのプロジェクトが終わるのは2027年を想定している。
第3滑走路が完成したその日、GBAの初めての機材ボーイング737-800がHKIAに到着した。座席数は最大で189席で、白を基調とした機体に明るい水色が尾翼に塗られているほか、航空会社の文字になどにも使われている。現在、航空ライセンスの申請中で、申請が通れば来年には営業を始めることを期待している。営業が認められれば、中国本土48路線を含む、台湾、日本、韓国、シンガポールなど104路線を計画。2021年第4四半期にシンガポール、バンコク、プーケット線から始めたいとしているが、新型コロナの影響もありライセンスの承認待ちの状態がいつまで続くのか見落としは立っていない。2036年には30機態勢で運航したいとしている。