香港政府統計処が9月、「香港的女性及男性主要統計数字 2021年版」を発表した。これによると香港市民の2020年の月収の中位数は前年比で600香港ドル増の1万7,700香港ドルであることが分かった。約30年前の1991年の月収は6,000香港ドルであることから香港経済は総じて右肩上がりで成長してきたことが分かる。
この統計数字は、統計処が毎年発表しているもので、人口、教育、就労など、さまざまな分野について男女別で約400ページにわたって非常に細かいデータを提供している。現在の香港経済や社会を知ることができる重要な指標だ。
2020年の男性の中位数は、前年と同じ2万香港ドルと変わっていないが、女性は700香港ドル増の1万5,000香港ドルで、特に40~49歳が最も価格差が大きいとした。ただ、ここ数年、男性の賃金は横ばいだが女性は伸びており、確実に男女差がなくなってきている。
1週間の労働時間で見ると、中位数(外国人お手伝いさんを除く)は2019年より4時間短くなり40時間となった。男性は45時間から44時間、女性は40時間のままだった。
就業者数は、男性が前年比10万3,100人減の180万6000人、女性が同8万5300人減の185万5500人で、合計は366万1600人となった。男性も女性も2年連続で前年を割り込んだ。2019年、2020年は逃亡犯条例改正案の端を発するデモと2020年の新型コロナウイルスの感染拡大が直撃したことが分かる。
収入幅トップ3(同)で見ると、男性で最も多いのが3万香港ドル以上で58万1300人(前年は59万人)、続いて2万~2万9,999香港ドルは40万1300人(同43万1900人)、1万5,000~1万9,999香港ドルの34万1800人(同36万6800人)、1万~1万4,999香港ドルが27万8900人(同33万1700人)となった。いずれの収入幅も2020年は前年割れとなった。
女性では、3万ドル以上が39万3700人(同38万4800人)とトップになった。2位は1万~1万4,999香港ドルが33万7000人(同37万4500人)、1万5,000~1万9,999香港ドルが27万6000人(同28万5400人)、2万~2万9,999香港ドルは25万9000人(同27万7500人)としている。給与区分で最も高い3万香港ドル以上の所得を得ている人のみが前年の数を上回っており、傾向としては良い方向に向かっている。
産業別(同)でみると、男性で最も高い中位数はファイナンシングで4万香港ドル、続いて、公務員の3万5,000香港ドル、教育の3万3,400香港ドルだった。トップ3のうちファイナンスだけが前年割れとなった。女性は公務員が3万1,000香港ドル、ファイナンシング3万香港ドル、教育が2万6,500香港ドルで、公務員の安定ぶりが分かるものだった。
職務内容的(同)には、男性は専門員が5万香港ドル、経理・行政関連が4万5,000香港ドル、専門員のサポートをするような準専門員が2万3,800香港ドルだった。女性では専門員4万8,000香港ドル、経理・行政関連が4万0,400香港ドル、準専門員が2万3,800香港ドルとなっており、準専門員においては女性が男性を上回った。
学歴別の中位数(同)では、昔の制度ではSecondary 7、新しい制度ではSecondary 6(いずれも18歳)の卒業では男性が1万8,000香港ドル、女性が1万5,000香港ドル、専門学校レベルであれば男性が2万香港ドル、女性が1万8,000香港ドル、大卒以上では男性が3万5,000香港ドル、女性が3万香港ドルだった。
年齢別の中位数(同)で最も収入が多かったのは、男性は40~49歳で2万5,000香港ドル、女性は30~39歳で2万,300香港ドル。
アルバイトのような時間給で働く労働者を見ると、香港では2011年5月から最低賃金が条例化されたが、中位数は男性が83香港ドル、女性が66香港ドルに増えている。