世界に知られる中華料理店「鏞記」(32-40 Wellington Street, Central, TEL:2522 1624)がこの秋、リニューアルオープンした。
ガルーパの角切り、魚の塩辛、豚のミンチを詰めたナマコのメニュー
同レストランの始まりは路上レストラン「大排●」で1936年にオープン。鏞記の歴史は香港が漁村から国際金融センターと成長した姿と重なる。ローストグースを目玉に50年代にはこのローストグースを持ち帰り用の箱に入れ、これが観光客などの間で「フラインググース」と呼ばれてさらにトレードマークになった。1964年に現在の場所に移り、1968年、フォーチュン誌が発表した「世界のトップ15レストラン」に選ばれたほか、これまでに100を超える主要な料理賞も獲得している。現在は三代目の経営者の一人、甘蕎因さんが指揮を執り、4,000万香港ドルをかけて改装した。
今回のリニューアルでは、4フロアのうち2フロアを大規模に改装した。グランドフロアでは、新しいメニューを採用し、伝統的な料理を現代風にアレンジした新しいメニューを提供する。同店のオリジナルのブース席を復活させ、半世紀前の光景を再現しながらも「座り心地の良い」ソファクッションや、プライバシーを確保するための高さのあるパネルなどでブースをリニューアルした。受付カウンター、水族館、王羲之の銅像など、歴史的になじみのあるものは全て大切に保存している。
映画「In the mood for love」(花様年華)、「The World of Suzie Wong」(スージー・ウォンの世界)など、香港で撮影された映画からインスピレーションを受け、テーブルクロスを取り払い、カーペットの大部分を撤去し、丁寧に作られた茶室を強調しながら、何十年にもわたって丁寧に修復・保存してきたオリジナルの床タイルを復元した。
ダイニングホールの中心には、同店の象徴である「龍鳳ステージ」がある。40年以上にわたって同レストランの一部となってきた自然や庭園の風景を描いたもので、細心の注意を払って修復された木彫品を展示する。
メニューについては広東料理の伝統を守り続けるために代表的な料理をそのまま維持する。ローストグース「正宗炭燒黑鬣鵝」は、高品質の純血種である黒毛和種の中国産ガチョウを使う。ジューシーな肉質は、ウェットヒート・ロースト方式を採用していることが理由で、何世代にもわたって受け継がれてきた秘伝のマリネを肉汁と一緒に閉じ込め、炭火で焼き上げる。今回の改装の中でもオリジナルの中国式炭火焼きグリルに投資した。
炭火で焼いたガチョウの巣にバーベキューポークとガチョウのレバーソーセージを詰めた料理「蜜汁吊燒鵝掌紮」は、1950年代に有名になったメニューで、元々は鴨肉を使っていたが、毎日使う鴨の部位を無駄にしたくないという思いから生まれたもの。ガチョウの腸で締め、炭火で炙(あぶ)る。
プレミアムポークベリーの松の実入りスモーク「松子雲霧燻香肉」は、脂身の多いポークベリーを脂身の多い豚バラ肉をアニス、ブラックカルダモン、ローリエと一緒に2時間半ほど煮込み、冷ましてから冷凍して固める。その後、それぞれの豚バラ肉を等分にカットし、マスターブイヨンで蒸した後、米、きび砂糖で薫製にする。最後に松の実を添えることで、脂身の中に複雑なスモーキーフレーバーの層が生まれるという。
伝統的なレシピを現代人の味覚に合うように改良したメニューは、例えば、ガルーパの角切り、魚の塩辛、豚のミンチを詰めたナマコ「乾坤肉鬆釀刺參」は、伝統的な2つの料理を1つにまとめ、現代的な新しいプレゼンテーションで表現した。保存された魚や豚のミンチと新鮮な魚のミンチをナマコに詰めたもの。北海道のナマコを丸ごと1本使って2層に詰めている。
さらにミックスシュリンプとロブスターテールのクリスピートースト「金黄鍋貼龍蝦尾」は、広東料理の定番であるエビのトーストをさらに進化させたもので、ロブスターの尾を丸ごと1匹と新鮮なエビのすり身を、ヤマイモペーストと一緒にパンの上に載せた。トーストの上には桜エビも。
営業時間は11時~23時。
●=木へんに當。