上環の人気カフェ「CAFE LIFE PASTISSERIE & CAFE」(251Queen’s Road,Central, Sheung Wan)が12月1日、高知県のユズを使ったケーキ3種の販売を始めた。高知県との共同企画で、2週間限定で販売が決まり、SOGO銅羅湾店と尖沙咀のK11ArtMallのポップアップ店も含めた全店舗で扱う。
高知県は1960年代から林業に代わるかんきつ類の栽培に力を入れており、ユズは日本一の生産量を誇る。 同県は観光については積極的に香港市場にアプローチするなか、ユズが高知県を象徴するものの一つであり、日本一の生産量であるという認知度がまだ低いことに注目し、食からのアプローチを図った。和食も浸透する香港では、料理人たちの間では「高知ユズ」の認知度はあるものの、これだけ日本産野菜が販売される香港でも、スーパーの店頭で購入できる機会は少ない。しかし、和食店の増加により、ユズポン酢やユズこしょうなどの人気も高まり、アルコールとしても香港でブームとなった「梅酒」の次に広がるアイテムとして各店での取り扱いが徐々に増えてきている現状がある。
ケーキ販売に合わせ、2日、高知県は香港メディアを集め試食会を兼ねた観光交流会を実施した。香港では、高知県が舞台のモデルとなった映画「竜とそばかすの姫(龍與雀斑公主)」の上映が現在も続く中、映画の各シーンを切り出した観光スポットの紹介や、2019年にオープンした四万十町のグランピング施設「スカイヒルグランピング」や、今年7月にリニューアルオープンし、これまでにも香港人の宿泊などの実績も重ねる「星ふるヴィレッジTENGU」などの紹介なども盛り込んだ内容を展開し、試食をしながら高知に親しむ時間をもった。
今回販売するケーキのうち、毎日薄いパイ生地を焼く同店でも人気のミルフィーユ「日本高知縣柚子(ゆず)抹茶拿破崙」(カット=88香港ドル、ホール(10センチ四方)=418香港ドル)は、ユズの皮とカスタードをあわせ、生クリームにもユズの果汁を加えた。濃厚な抹茶プリンを挟んだミルフィーユは、飾りにもユズの皮をすりおろして、香りも楽しんでもらえるようにしている。
ユズと蜂蜜ロールケーキ「日本高知縣ユズ蜂蜜蛋?卷」(カット=62香港ドル、ホール(16センチ)=288香港ドル)は、ユズの果汁、皮のペーストを使って生クリームを合わせ、蜂蜜を使って巻いた。
香港メディアからも評価の高かったユズタルト「日本高知縣柚子果撻」(68香港ドル)は、ユズのムースにレモンを加えてユズの風味を引き出した。ユズにレモンを合わせることでユズの風味をさらに引き立たせ、ユズを丸ごと使ったコンフィ、皮のペーストで作ったジャムがユズを爽やかに感じさせるようにしたという。タルト生地にはシーソルトを使うことで、「海塩の塩気とユズの香りが口の中で甘酸っぱく広がる商品に仕上げた」という。
オーナーパテシェエの松岡哲也さんは、SOGOやK11などショーケースのみの販売数も増える中、箱を開けた時の香り、ユズの新鮮な味を味わってもらえるように工夫したという。「普段、ピューレや、ペーストなど加工されてたものを使う機会が多いこの海外で、新鮮なユズに触れて、私たち作り手にも香り、味を楽しむ機会となった」と話す。「皮をすりおろした際にはキッチン全員が『すごくいい香り』と、私たちも楽しんで作ることができた。香港人スタッフにこのような瞬間を味わってもらえることが、日本人としてとてもうれしい」と続け、今回の販売が好評であれば今後の継続的な展開への意気込みものぞかせる。
ゆずケーキ提供期間中は、ケーキの写真と一緒に高知で一番行ってみたい場所などを書き込むインスタグラムキャンペーンも実施中で、選ばれた参加者には、高知煎餅、高知ゆずゼリーなどの高知直送商品を進呈する。
高知ユズケーキの販売は今月15日まで。