中環の石畳で知られるポッティンガーストリートに3月22日、コンテンポラリーフレンチをベースとしたカジュアルダイニング「Clarence」(25/F, H Code, 45 Pottinger Street, Central, Hong Kong. TEL 3568 1397)がグランドオープンする。
同店は、「フランス料理の常識を覆し」、炭火焼き、蒸し焼き、鉄板などの手法で各料理を仕上げる。ワンフロアに、ワインバー、ソムリエールーム、メインダイニングルーム、ザ・ラウンジの4つのエリアを配置した。
メインダイニングルームからはミッドレベルの住宅群を望むことができ、シンプルな色でまとめた清潔感あるダイニングに自然の採光を取り入れる。セミオープンキッチンでは、特注の蒸し器や鉄板、炉端焼きで調理する。同店は、新たに「ヤキフレンチ(Yakifrenchy)」というコンセプトを取り入れた。これは日本食も大好きだというエルザーシェフが、「日本の伝統的な炉端焼きで、伝統的なフランス料理に新たな命を吹き込む」というもの。シャラン産鴨のコンフィ、カエルの足のパスティ、カタツムリのブルゴーニュ風、ラタトゥイユとジャガイモのコンフィなどを串焼きスタイルで提供する。
友人や家族が集まり、魚や鶏肉を丸ごと一匹使って料理をシェアする地元の食文化に敬意を表し、舌平目(ドーバーソール)やエイヒレである「スケートウィング」などのフランス産の魚を、地元ならではのシェアスタイルで骨ごと蒸し焼きにしたメニューをメインに据えた。ダックやイエローチキンなどの特選肉は、ガーリックコンフィや炭焼きマッシュポテトなどの伝統的なサイドディッシュと合わせて、シェアメニューとして用意した。日替わりメニューや季節のメニューも準備する。
ダークな色調ながらも、日本のすしカウンターをイメージしたというワインバーエリアは、高級魚の生食が楽しめるエリアにした。特注スモーカーで作られたスモークトラウト(マス)は、アボカドわさびとガーリックオイルを添えて提供する。ボラで作ったカラスミ「ボッタルガ」をたっぷり使った北極イワナを塩漬けした「グラーブラックス」、ライムとトンカ豆でマリネしたブラックタイガーなどワインと合わせた提供を考えている。
ほかにも高級ワインの世界を凝縮した「ソムリエールーム」がある。フランスの伝統的なワインセラーを彷彿(ほうふつ)とさせる同ルームには14席の黒大理石のテイスティングテーブルがあり、アーチ型のレンガ天井と階段状の赤レンガ壁、床から天井までのワイン冷蔵庫に囲まれた空間が広がる。冷蔵庫には、代表的な生産者から新星まで、希少価値の高いワインやバックビンテージ、熟成したワインを並べ、その中には香港の他の場所では手に入らないようなものもあるという。
エルザーシェフは、料理家ばかりの家系に生まれ、その血を受け継いできた。影響を受けたシェフの一人であるピエール・ガニェール(Pierre Gagnaire)シェフからは、「自信と素材と味のバランスを大切にすれば、既成概念にとらわれないどんな料理でもうまくいくこと」を教わり、ジョエル・ロブションシェフからは「常に進化し、新しいことに挑戦する意欲、情熱を持ち続けること」を学んだという。
マンダリンオリエンタル香港の「ピエール」を2つ星に導き、2011年にジョエル・ロブションに移る。 エグゼクティブシェフとして香港のチームを率いて、ミシュラン3つ星を獲得。その後、自身初のコンセプトレストラン「Seasons by Olivier Elzer」をオープンし、3年間ミシュラン1つ星を維持。2018年、セントレジス香港に招かれ、「L'Envol」を手がけ、現在も2つ目の星を維持している。そして今回、2店舗目となる「クラレンス」で、10年来のパートナーであるサイモン・ソーシェフと組み、ソーシェフ指揮の下、フランス料理に新しい風を吹き込む。
「私の13年間のアジアでの経験と、フランス料理の魂、伝統、伝統を融合させたユニークなダイニング体験を作りたい」と話すエルザーシェフ。自身の料理の伝統と香港での経験を生かし、伝統的なレシピと味をアジアの調理法と彼独自の創造性で昇華させ、フランス料理の限界を押し広げることを使命としている。
営業時間はランチ=12時~14時30分、ディナー=18時~22時30分。(金曜日・土曜日ランチ~15時、ディナー23時)現在は新型コロナ肺炎措置に準じて、12時~18時で営業中。