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オミクロンに翻弄される香港 スターフェリーは経営危機、強制検査は優先事項ではない

19日、感染状況がきびしいながらも銅鑼湾駅周辺には人流がやや戻りつつある

19日、感染状況がきびしいながらも銅鑼湾駅周辺には人流がやや戻りつつある

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 オミクロン株の感染拡大が3月3日をピークにゆっくりと減少傾向を示しているが、依然として予断を許さない状況の香港は現在、社会機能が半分まひする状況に陥っている。

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 香港は19日現在、検査による陽性反応を示した人は103万3541人、最終確定した累計感染者は27万5775人、死亡者は5650人となっている。新規感染者は1万6597人、うち14人は海外からの輸入症例だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が615万9752人(91.5%)、2回目も終えた人は552万0518人(82%)となっている。3回目の接種回数は245万9637回だ。

 香港政府の厳しい防疫対策の一つとして18時以降の店内飲食禁止があるが、香港餐飲聯業協会(HKFORT)の黄家和(Simon Wong)会長は16日、防疫対策の影響を理由に3000店以上の飲食店が休業していると、このままでは閉店と失業者が増える可能性があると懸念を示した。

「Fitness First」を運営するイギリスの大手フィットネスクラブEvolution Wellnessは同日より香港にある全店を閉鎖すると発表した。ただし、傘下のPure Yogaは営業継続をすることから、Fitness Firstで利用していたパーソナルトレーニングなどの分を回すことができる。

 市民の足として、観光資源としても貴重な天星小輪(Star Ferry)は3月14日、反政府デモが本格化した2019年6月から現在までに7,000万香港ドルの債務超過となっていることを明らかにした。周卓賢総経理によると「1国2制度が終わるとされる2047年までに返済を終えていない可能性がある」と発言など深刻な経営状況であるとした。

 本土について、深?は3月14日から20日まで、東莞は3月15日から21日までのロックダウンを発表した。両市共、市外への移動などが禁止されている。生鮮食料品などの輸入の多くを中国本土に頼っている香港だけに品不足が心配されるが、林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官は、ロックダウンによる物資の供給に影響はないと火消しに走った。中国政府側もこのロックダウンで香港への物資の供給を止まらせることはしない考えだ。そのうち、1700万人を抱える深?はロックダウン中に3回の強制PCR検査を実施する。香港でも全市民を対象にした3回の強制PCR検査を計画しており、これは香港での実施に向けての参考事例として考えている。ただし、林鄭長官はそのPCR検査の実施時期について「もはや優先事項ではない」と発言した。要因として、純粋に検査能力の問題、人員不足、750万人分の接種予約や記録をデジタル処理するシステムがまだ確立されていないことが背景にあるようだ。

 厳しい防疫対策の中で一時営業停止措置となっていたヘアサロンなどは再開を認めた。ただし、入店するには1回以上のワクチン接種と安全出行(LeaveHomeSafe)を使わなければならない。既に予約が相次いでいる。

 3月9日18時ごろ、突然、香港市内に大きなサイレン音が流れ、香港市民のスマートフォンにも緊急アラートが鳴り響いた。原因は香港を代表する公立病院の「伊利沙伯醫院(Queen Elizabeth Hospital)」が政府指定の新型コロナ専用病院となったため、一般患者は利用できないと呼びかけるものだった。サイレン発出の基準が低い場合、本当に大災害が起こったときに有効的に使えなくなる恐れがあるから運用の見直しを求める声が立法会議員などから出ている。

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