香港はオミクロン株が減少傾向を示しているが、香港政府は市民に対してN95マスクや抗原検査キットなどが入った「新型コロナウイルス対策パック」の配布、政府指定の隔離用ホテルの追加、香港ディズニーランドの再開や地下鉄や路線バスの通常運行への移行など、新型コロナウイルス対策はゼロコロナから徐々にウィズコロナへシフトしている。
香港は31日現在、検査による陽性反応を示した人は115万0769人、最終確定した累計感染者は28万5786人、死亡者は7706人となっている。新規感染者は6981人、うち5人は海外からの輸入症例だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が619万7102人(92%)、2回目も終えた人は569万2828人(85.4%)となっている。3回目の接種回数は276万9456回だ。
香港政府は4月2日より、抗原検査キット20個、KN95のマスク20枚、中国本土で軽症または中度の患者の治療薬として使われている漢方薬「連花清瘟」2箱をセットにした「新型コロナウイルス対策パック」(1世帯3人で計算し1週間分を想定)を約270万世帯全てに発送する。1週間以内に届く予定だが、受け取れなかった人は香港各地にある体育館、社区中心(Community Centre)、学校など130カ所で配布する。そのため受け取りのための登記は必要ない。
水際対策で規定以上の新規感染者などが出た場合、香港に到着する便を14日間禁じる「熔斷機制」は4月1日より7日に短縮。今回から、規制の適用条件は、同じ航空機に搭乗していた乗客が香港国際空港(HKIA)到着時に行われるPCR検査で3人以上の陽性者が出るなどのケースのほか、HKIA到着後のPCR検査で1人以上の陽性者に加え1人以上が第599H章の条件を満たしていなかった場合となる。
オーストラリア、カナダ、フランス、イギリス、アメリカ、インド、パキスタン、フィリピン、ネパールの9カ国は同じく4月1日より香港へのフライト禁止が解除されるが、それに伴い、政府指定の強制隔離ホテルの需要が高まることを想定される。そこで香港政府は3月26日、新たに13件のホテル、4400室分を追加したことを明らかにした。その結果、政府指定の強制隔離ホテルの数は合計38、部屋数にして1万室を超えることになった。
陳茂波(Paul Chan)財政長官は、水際対策の緩和の流れを受けて11月4日~6日に行われる香港セブンズの開催期間中に海外から100~200人の金融関係者を招いて国際金融フォーラムを開催する意向を明らかにした。現在、香港に入るには香港居民など有資格者は入境時に最低7日間の政府指定ホテルでの強制隔離があるが、それが観光ビザでの入境や隔離なしでの入境など、さらなる水際対策が緩和されるのかは明らかになっていない。
大幅な間引き運転や路線の運行停止などをしていた公共交通機関についても再開の動きが始まった。職員に多数の感染者を出し大幅な運行制限を行っていた香港鉄路(MTR)は4月1日より、ラッシュアワーでの輸送能力を高めることから始める。最短は?灣線(Tsuen Wan Line)と港島線(Island Line)は2.8分に1本で、最長は將軍澳線(Tseung Kwan O Line)の康城(LOHAS Park)から北角(North Point)間の9分間に1本となる。
運輸署(Transport Department)は3月29日、運休している140路線は現在の基本的な防疫対策が終わる4月21日からは「通常運転を行う方向にある」と発表した。4月1日からは先に79路線の運行を再開する。一気に通常に戻すのではなく間引き運転も引き続き認めるが、運行ラッシュ時間に関しては最長で10分間隔、それ以外でも最も長くて30分以下の間隔で運行しなければならない。残り61路線は4月10日まで運休を認めるが、21日には運行を再開する。
香港上海匯豊銀行(HSBC)は3月29日、これまで月曜・水曜・金曜に営業してきた48店舗について、月曜~金曜の9時~16時に営業時間を変更すると明らかにした。土曜は依然として営業停止を続ける。香港ディズニーランドは4月21日に営業再開を予定。まずは収容人数の50%で始め、その後75%に拡大する。配送・宅配サービス大手の順豊速運(SF Express)は3月23日から、宅配を通常営業に戻した。ただし、配達先のビルで陽性者が出た場合、受取人はビルの地上階まで自分で取りに行かなければならない。