香港芸術館2階にある特別ギャラリーで現在、イタリアのカポディモンテ美術館所蔵の作品を展示する「The Hong Kong Jockey Club Series: The Road to the Baroque - Masterpieces from the Capodimonte Museum」が開催されている。
同展は、康楽及文化事務署(LCSD)とイタリア文化省(MiC)が共同で開催し、香港芸術館(HKMoA)とカポディモンテ美術館(Museo e Real Bosco di Capodimonte)が共同で主催する。昨年香港で開催されたイタリア・ルネッサンス美術のウフィツィ美術館の展覧会に続くもので、在香港イタリア総領事館の協力の下、「イタリア-中国文化観光年」「Italia Mia」のプログラムとして、香港のイタリア文化会館が支援する。
ナポリ湾を一望できる丘「カポディモンテ」に立つカポディモンテ美術館は、ナポリでも屈指の規模を誇る大きな美術館で、年間100万人以上が訪れる。敷地内にある広大な庭園から望めるナポリの絶景も人気があり、ミケランジェロ、ラファエロ、カラヴァッジョ、ボッティチェリなど、有名芸術家が手がけた数多くのコレクションを展示している。
カポディモンテ美術館の香港での展示は初で、北イタリアと中イタリアの後期ルネサンス作品40点と、カポディモンテ美術館所蔵のナポリ・バロックの傑作のうち、香港では未公開の作品を紹介する。今回展示する作品は主に、ファルネーゼ家が収集したルネサンスとバロック美術の作品と、ブルボン家が収集したナポリ・バロック美術の作品。「17世紀以降のバロック美術の魅力と壮大さを体感することができる空間」に仕上げた。イタリアで生まれたバロックは、ルネッサンスに続く西洋美術史の重要な時代。「明暗の劇的なコントラスト、誇張された動き、顕著な人物の表情」が特徴だという。
ティツィアーノ、アンニバレ・カラッチ、アルテミジア・ジェンティレスキといった巨匠たちの宗教画、神話、静物画、風景画などを展示し、16世紀から17世紀にかけてのイタリアのナポリ美術の文体の特徴や芸術的成果を紹介。近年香港で開催されたバロック展の中でも最大規模のものとなった。
同展を補完するため、香港バプティスト大学クリエーティブ・アーツ学部の副学長(学際研究)兼創設学部長であるジョニー・プーン教授が、一部の展示品にバロック音楽とサウンドスケープをデザインした。3人の地元アーティストを招き、バロックの巨匠たちの作品にさまざまなメディアを使ってインスタレーションを施すことで、香港の視点を取り入れた展示となり、観客が過去と現在をつなぐ芸術体験を楽しむことができるよう工夫したという。
併せて、LCSDでは8月から10月にかけて、地元の音楽評論家ウィリアム・ティンさんによるバロック音楽レクチャーシリーズ「Bach & Beyond」を開催し、「クラシック音楽の父」と呼ばれるヨハン・セバスチャン・バッハの芸術を多角的に理解する機会を提供する予定。
11月2日まで。