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香港政府、入境後の行動制限撤廃 行動履歴記録のアプリ解除など5項目緩和

突然の発表で2年続いた行動履歴記録のアプリが解除された香港

突然の発表で2年続いた行動履歴記録のアプリが解除された香港

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 香港は12月13日、さらなる新型コロナウイルスの防疫対策についての緩和策を発表した。これまで海外や台湾から香港に訪れる人は、入境後3日間は飲食店などに入ることができなかったがその制限がなくなった。併せて香港市民全体についても、当該施設に入る際は行動履歴を記録するアプリ「安心出行(LeaveHomeSafe)」を使ってQRコードをスキャンすることを義務付けていたが、その必要がなくなるなど、12月14日より5つの項目を緩和することになった。

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 香港は13日現在、検査による陽性反応を示した人は2,275,447人、最終確定した累計感染者は478,020人、死亡者は11,021人となっている。新規感染者は13721人、うち698人は海外からの輸入症例。一方、ワクチン接種者については、1回目が690万4243人(94.5%)、2回目を終えた人は677万9247人(92.9%)、3回目も終えた人は576万4953人(82.8%)、4回目が67万5118回となっている。

 香港政府は、2003年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)の教訓と中国政府の方針に従いゼロコロナ政策をとっていた。しかし、重症化しにくいオミクロン株が主流となり、かつ自然免疫とワクチンによる免疫のハイブリッド免疫を持つ香港人も増えた。併せて香港はビジネスの観点から見ると中国本土のみならず海外とのつながりも需要であることと中国政府がゼロコロナ政策を解除する見通しが見えないことから、1国2制度を生かして中国より一足先にウィズコロナ政策に変換していた。中国政府としても香港は、今後緩和する方向に振ったときに先行事例として活用できるメリットもあった。しかし、中国本土はコロナ政策への不満による市民の抗議などの影響から事実上、ゼロコロナ政策を断念。12月12日には、移動履歴を記録する中国版安心出行を廃止すると発表した。

 香港政府は12月9日から入境者への検疫措置を5日に緩和していたが、中国政府の動きに合わせて12月14日より適用となる5つのさらなる緩和策を打ち出した。

 1つ目は、施設などに入る時、入り口に提示されていたQRコードを、追跡アプリである「安心出行」を使ってスキャンしなければならなかったが不要となった。ただし、12歳以上は3回のワクチン接種を求める「疫苗通行證(Vaccine Pass)/ワクチンパス」は有効。そのため、レストラン・バー、映画館、フィットネスジム、カラオケ、スイミングプールなどに入る際は、ワクチン接種証明書、個人向け電子プラットホームの「智方便(iAM Smart)」、医療アプリの「醫健通(eHealth)」内に記録されているものを提示する。または、安心出行内にも接種したことを反映できるページがあり、それを活用することも可能。

 2つ目の海外と台湾からの来港者については、香港国際空港到着後、PCR検査を受け、翌日を1日目とカウント。2日目に社區檢測中心(Community Testing Centre)に赴いてPCR検査受け、5日間の抗原検査をする点に変更はない。変更となるのは、入境後3日間は飲食店などに入ることができなかったが、それがなくなり、入境手続きを終えた後は飲食店に入ることが可能になった。香港の場合、街の特性からリゾート地のように長期滞在をする観光客はあまりいない。そのため3日間のレストランに入ることができなかったことは来港の大きな妨げになっていたが、撤廃により観光客やビジネス客がより来港しやすい環境が整った。

 中国本土とマカオを訪れる人について香港政府は今年3月より48時間以内のPCR検査の陰性証明書を提出する必要があった。それに加え、香港国際空港の税関および陸路の場合でも税関でPCR検査をしなければならなかったが、両イミグレーションでのPCR検査は廃止となったことが3つ目の点として挙げられる。

 4つ目は、政府はこれまで感染リスクが高い空港職員、教職員、ワクチン接種をしていないウエーターなどは定期的にPCR検査をすることを求めていたが、病院関係者、介護施設、障がい者施設で働く人などを除いて、PCR検査をする必要がなくなった。

 最後の5つ目として、新型コロナに感染した人が自宅で隔離する場合、腕にブレスレットを着用しなければならなかったが、廃止となった。ただし、政府は無断で外出したかどうかをチェックするために抜き打ちで自宅を訪問するとしている。陽性者は買い物に行けないため物資の配給は継続して行う。

 現在、実行されている公共の場でのマスク着用などの各種防疫対策は12月28日までだが、こちらに変更はない。

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