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李行政長官、就任後初めての施政方針演説 海外人材の確保、鉄道は3路線増加

初の施政方針演説を行った李家超(John Lee)行政長官

初の施政方針演説を行った李家超(John Lee)行政長官

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 李家超(John Lee)行政長官は10 月19日、施政方針演説を行った。2022年7月に行政長官に就任してから初の施政方針演説となる。政策は林鄭月娥(Carrie Lam)前行政長官同様に幅広い分野をカバーしているが、新型コロナウイルスによる入境制限に伴うビジネスの停滞や香港国家安全維持法の影響で人材の流出が増えており、即効薬として海外の人材の確保に力を入れる。「中鉄線(Central Rail Link)」として元朗(Yuen Long)から葵涌(Kwai Chung)を経由し九龍塘(Kowloon Tong)につながる路線など3つの路線の増設なども盛り込んだ。

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 政治面では、1国2制度を堅持しつつ安全保障にも力をいれるとした。前年の林鄭前行政長官同様に基本法23条に基づく国家安全条例の制定を目指すとしていたが、この法律は国安法で運用できない部分を補完するため。李行政長官は民主派のデモを抑え込んだことで行政長官になったとも言われるが、いつまでに法制化するという明確な数字的目標をこれまで打ち出してこなかった。

 経済では「未来基金(Future Fund)」から300億香港ドルを拠出して「共同投資基金(Co-Investment Fund)」を創設。香港に進出したい企業を資金面からサポートする。人材面では、この2年間で14万人の労働人口が流出したとし、過去1年間の年収が250万香港ドル以上か、世界トップ100の大学を卒業し一定の実務経験がある人が対象に2年間のビザを発給する。人数に上限は設けない。併せて実務経験がないトップ100大学の卒業者も年間1万人を上限にビザを出すことを打ち出した。「優秀人才入境計画」「科技人才入境計画」などのスキームでビザを取得した人がビザを更新する場合、最大で3年間延長できるようにする。

 香港は、1国2制度を生かし、香港という1つの経済体として「地域的な包括的経済連携(RCEP)」への加入に向けて積極的に活動を始めるとしている。住宅では「簡約公屋(Light Public Housing)」と呼ばれる簡易型の公営住宅を今後5年間で3万戸を造成するほか、現在進めている公営住宅の建設を着実に推進していくとした。

 交通網の整備も強化する。「中鉄線」は、元朗発で葵涌を経由し九龍塘へとつながる路線、将軍澳線(Tsueng Kwan O Line)の南への延伸、元朗と屯門(Tuen Mun)の中間にある洪水橋(Hung Shui Kiu)と深?の前海を結ぶ鉄道計画の推進を結ぶ路線の3つを敷設する。さらに、東鉄線(East Rail Line)沿いに科学園(Science Park)/白石角駅(Pak Shek Kok Station)を2033年より前に増設する。車用道路では、大埔(Tai Po)と西九龍(West Kowloon)を結ぶ道路など3つの道路を整備する。

 現在、無料地上波放送は3局あるが、テレビ局、さらに映画を通じて香港発のポップカルチャーを発信することをサポートする。加えて、現在康楽及文化事務署(LCSD)が運営する博物館は19カ所あるが、施設内にある舞台の観客席の数を50%増やす考えだ。

 医院管理局傘下の公立病院では、待ち時間の長さが問題になっているが、来年度を目標に待ち時間を20%削減することを盛り込んだほか、今後5年間でベッド数を4600床、手術室を80室増やし、高齢社会に備える。直近で多くの香港市民の関心は現在の入境時の防疫措置「0+3」についてであり、「0+0」になることが期待されていたが、この施政方針演説では見送った。

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