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香港のタイガーバームガーデン、12月に再閉鎖へ コロナ禍直撃で赤字経営続く

12月1日から閉鎖が決まったタイガーバームガーデン

12月1日から閉鎖が決まったタイガーバームガーデン

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 大坑(Tai Hang)にある2代目のタイガーバームガーデン「虎豹樂圃(Haw Par Music)」(A, 15 Tai Hang Road, Tai Hang, Hong Kong TEL 3165 1212)が12月1日から再閉鎖すると発表した。理由はコロナ禍による影響としている。

建物内部の様子

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 タイガーバームガーデンは元々、日本でも知られている軟こう「タイガーバーム」の事業を拡大させた胡文虎と胡文豹兄弟が1936年に建てた別荘とその庭。施設は、建物自体は西洋の工法を使うが、内装は中国テイスト採用するなど両者の良いところをうまく融合したテイストとして知られている。

 同ガーデンの象徴は高さ44メートルの仏塔で、洋館、虎の陶磁器が庭に飾られていた。1950年から一般に開放されるようになり日本人観光客にも親しまれていたが、1997年に始まったアジア通貨危機の影響を受けた胡一家が売却し、2000年に閉鎖した。

 閉鎖後、同地を長江実業が買い取り、仏塔などのエリアは高層マンションになった。その後、香港市民から保存を求める声が上がり、長江実業と香港政府はタイガーバームガーデンを保存することを決定。2009年に香港政府は第1級の歴史的建造物にしていた。

 同ガーデンの復活を望む声が上がる中、「虎豹音樂基金」が香港政府の第三期活化歴史建築●伴計劃(活化計劃)を活用することを計画し、それが認められた。既にマンション開発などで一部はなくなっているものの、正門や洋館などはほぼ昔のまま残っており、1億3,050万香港ドルを投入して修復作業などを行った。「2019年4月、虎豹樂圃」で再出発。広さは1960平方メートルで、庭を一般市民に開放し、定期的にガイドツアーを行っていたほか、洋館は講堂や教室などを構える音楽学校として使われていた。

 しかし、同年6月から逃亡犯条例改正案に関係する大規模なデモが発生し市民の足が遠のいた。さらに追い打ちをかけるように2020年からは新型コロナウイルスの感染が拡大し、赤字経営に陥った。運営側は2025年3月31日まで契約していたが、政府との話し合いの結果、事業継続が困難と判断。12月1日に営業を停止することとなった。施設は全て香港政府の管理下に戻るが、今後、同ガーデンがどのようになるのかは現時点では不明。

 デモと新型コロナの影響を受け営業継続を断念したという意味では、中環(Central)にあった飲茶の老舗「蓮香楼(Lin Heung Tea House)」を思い出させる。香港政府は補助金を出しながらも民間の力を利用して歴史的建造物の活用を進めているが、一部の建物は厳しい財政状況に陥っている。

 開園時間は10時~18時(月曜は14時)。入園無料。

 ●=にんべんに火。

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