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「香港アートフェス」開幕 香港セブンズに続くウィズコロナの試金石に

現在開催中の「第51回香港藝術節(Hong Kong Art Festival)」

現在開催中の「第51回香港藝術節(Hong Kong Art Festival)」

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 「第51回香港藝術節(Hong Kong Art Festival)」が2月15日、開幕した。コロナ禍の影響で昨年までの3年間は規模を縮小するなど厳しい運営となったが、今年は香港社会が通常に戻ったことをアピールする大型イベントとする。プログラム数は昨年より減少したが、各種プログラムを上演する。

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 1973年に始まった同フェス。今年は3月20日までの33日間にわたって行う。ウィズコロナにシフトした香港は2022年11月、7人制ラグビー「香港セブンズ」を開催。香港政府は「香港大球場(Hong Kong Stadium)」という大規模会場で、1カ所に大人数が集中することによる感染拡大の影響はどうなるのかをチェックした。結果、セブンズがきっかけとなる感染爆発は見られなかった。同フェスでは「文化中心(Cultural Centre)」など小規模~中規模の11カ所の会場で、1カ月以上連続して行う分散型イベントとした。

 今年の演目数は40と前年の60から減少し、上演回数も131から110に減った。これは相手との出演交渉は早い時期から行われるため、香港がゼロコロナ政策を実施しているときに、すでに一部で話し合いが行われていたことなどで、香港に呼びにくかったということが背景にある。

 同フェス側は、人気が出そうな演目については従来の2、3日間の上演ではなく5、6日間と、これまでより長くすることで売り切れを防ぎ、大勢の人に楽しんでもらえるようにした。作品に関心を持ってもらうため、これまで1冊にまとめていたガイドブックを2冊に分けて、より詳細な内容を記述した。ほかにも専用サイト「HKAF DIGTAL」を開設し、制作者や出演者などのインタビュー動画、作品制作のドキュメンタリーを無料で見られるようにした。作品への興味、関心を高め、会場に詰めかけてもらう仕掛けづくりで工夫を施す。

 注目のプログラムは、日本、香港、中国、マカオとすべてに関係が深い孫文を描いたミュージカル「日新(Yat-sen)」。日本では「孫文」の名前が知られている。一方、中華圏では「孫中山」と書かれることが普通だが、若かりしころは「孫日新」という漢字を使っていた。国を変えたいというと強い理想を持っていた青年時代を丁寧に描く作品になっている。

ドボルザークの「新世界」、ブラームスの「交響曲第3番」や「第4番」などを演奏すれるのがドイツのバンベルグ交響楽団によるコンサート。世界に知られているバンベルグによるクラシック音楽を披露する。

 ユニークなのは、人形劇とオペラを融合させた「蒙徳威爾第(Monteverdi’s Il Ritorno d’Ulisse)」というプログラム。作品自体は1639年に初演されたという歴史あるもので、人形を駆使してオペラを上演する。歌はステージ裏でプロの音楽家が歌う。

 2023年の予算は昨年の1億2,400万香港ドルから1億5,000万香港ドルに増えた。内訳はスポンサーと寄付によるものが6,450万香港ドルと43%を占める。香港賽馬会慈善信託基金(HKJC Charities Trust)がメインスポンサーで、中国工商銀行(亜洲)(ICBC)、信興集団(Shun Hing Group)、フィンエア、グランドハイアットなどがスポンサーとなっている。チケット販売が同の24%、3,600万香港ドル、康楽及文化事務署(LCSD)を通じた補助金は同18%の2,700万香港ドル、その他が同15%の2,250万香港ドル。

 チケットはURBTIX各店、HK Ticketing各店、香港藝術学院(HKAPA)、インターネットで販売している。

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