香港政府の李家超(John Lee)行政長官は2月28日、新型コロナウイルス対策についてのマスク着用義務について3月1日より撤廃すると発表した。2022年9月よりゼロコロナ政策からウィズコロナ政策に急速にシフトしてきたが、最後の懸案となっていたマスク着用義務が解除されたことにより、事実上のコロナ対策は終了。「普通の香港」に戻る。
香港政府による新型コロナウイルスに対する防疫対策は、2003年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)での体験を生かし、変異するウイルスに対応するためにスピード感が重要であることを認識しており、高頻度で対策を変更するなど朝令暮改的に実施してきた。入境制限のやり方、隔離の方法、ワクチンの確保と「疫苗通行證(Vaccine pass)/ワクチンパス」、業界ごとに細かく設定された防疫対策などを実施し、他国・地域と比べ厳しめの対策を取ってきた。
しかし、オミクロン株が主流となり、2022年9月26日、政府指定ホテルでの隔離を廃止してからは一気にウィズコロナにシフト。香港らしく矢継ぎ早に各種対策を緩和してきたが、最後に残ったのがマスク着用義務だった。
香港政府は、香港社会全体が新型コロナウイルスに対応できる能力を持っているとして3月1日より、屋内・屋内を含めた公共の場、公共交通機関などでのマスク着用義務を撤回する。香港市民はSARSの経験から義務化以前からマスクを着用したが、法律としては2020年7月15日から実施されており、香港の各メディアも約3年、959日間に及ぶマスク着用義務が終わると大きく報じた。
ただし、感染リスクが高い病院や介護施設では、管理者が職員や来訪者に対してマスク着用を求めることができる。隣のマカオでは、マスク着用義務が一足早い2月27日からほぼ撤回されていた。
一方日本政府は香港からの直行便について、到着空港や、便数も一定程度制限してきた。各航空会社は予定していたフライトをキャンセルするなどの影響を受けていたが、3月1日より4空港以外での離発着や増便を認めると発表した。この措置により、今後は日本の地方都市と香港の往来も容易になり、観光客やビジネスパーソンの行き来がより活発化すると予想される。