香港・中環のチャーター銀行ビルにあるジャパニーズ・ファインダイニング「ODDS」(Shop G2, G/F, Standard Chartered Bank Building, 4-4A Des Voeux Road Central, Central TEL 2891 3988)が6月20日、夏の新メニューを発表した。
2021年にオープンしたODDSは、鉄板焼き、すし、焼き肉を組み合わせた高級レストランをコンセプトとした店で、LUBUDS グループが経営する。入り口付近には楕円(だえん)形のバーテーブルがあり、ドリンクや軽食を楽しむことができる。メインダイニングエリアにはすしと鉄板焼きのカウンターがある。どのテーブルを選んでも好みのものがあれば食べられる仕組みで、日本から取り寄せた食材を使う。日本人シェフがいない中でも香港のエグゼクティブたちの舌を楽しませてきた。
夏のコースは日本の「都道府県」にこだわり、奈良のナス、北海道産のウニ、琵琶湖産のアユなど、20都道府県の食材を使ったメニューに県名を添え、関東・関西両方の調理法と採り入れて16品のメニューに仕上げた。
前菜は、奈良の伝統野菜「大和丸なす」とだしを使った料理で、丸い形と柔らかい食感が特徴のナスを大根のピューレと静岡県産の桜エビを添えることで、ナスの果肉に合うように考案したもの。続く「季節の刺し身盛り合わせ(5種)」には、5月~8月が旬の北海道産ムラサキウニと富山県産白エビなどを選んだ。自家製の貝を使って仕上げたしょうゆも添える。
奄美大島のマグロの中落ちに、キュウリなどをいれたのり巻きは、皿の横に日本産卵の卵黄を合わせて、ネギを載せて提供する。秋田のカレイは白板昆布で締め、長野県のキュウリで作った甘酢漬けを載せた。静岡焼津産のカツオは、ウイスキーオークで燻製(くんせい)したわらで焼き、ニンニク、ショウガ、ユリ、大葉、フルーツビネガーと合わせる。北海道オニオンソースを横に添える。香港人にも特に人気のある弾力ある北海道のボタンエビには、エビの卵と身で作った濃厚なソースを載せた。
焼き物と吸い物には夏の風物詩であるハモとアユを選んだ。吸い物は、昆布とかつお節に加え、マグロとイワシの削り節も加えてだしを取り、九州産のハモとトウガン、ジュンサイも加えた。アユは、琵琶湖産の肉厚なアユを塩焼きにし、カボスを添えて提供する。
すし(6貫) には、いずれも一手間加えた。ウニには自家製のスイートコーンムースを加え、イワシには米こうじやチリ、しょうゆを混ぜたものをトッピングし、岩手のイカは、お湯にくぐらせて甘みをより引き出す。燻製したトビウオの卵も載せた。どのすしにも、「夏らしさ、斬新さと、食感のコントラストなどのフレッシュな組み合わせ」を意識しているという。
和牛は佐賀和牛を使った関西風のすき焼きで、ここにも日本産卵を使う。
日本酒のペアリングもコースのテーマで、香港の日本酒利き酒師Randy Auさんが5つの日本酒ペアリングを考案。前菜には「フルーティーな香りとしっかりとしたボディーが、ナスのフレッシュで柔らかな味わいと合う」と考え福島の「写楽」を合わせた。刺し身には、魚のうまみを最大限に引き出すため、三重県の「作雅乃智 中取」 を選んだ。吸い物と焼き物には愛知の「義侠(ぎきょう)」を合わせる。「アユの甘みを際立たせ、吸い物に優しくコクのある味わいを与えてくれる」という。すしには、山口の「東洋美人 播州(ばんしゅう)愛山」、和牛のすき焼きには宮城の「雨後の月 雄町」を合わせ、脂身の多い肉と組み合わせることで、「肉の芳醇(ほうじゅん)な香りを引き立たせた」とも。
夏のコースメニューの料金は1,680香港ドル、日本酒のペアリングは通常630香港ドル(キャンペーン期間中は438香港ドル)で5種類の日本酒を提供する。
営業時間は、ランチ=12時~15時、ディナー=18時~22時、バーの営業は土曜~金曜の12時~23時(金曜は24時まで)。