シティバンク香港は10月11日、2023年6月現在で純資産1,000万香港ドル(約1億9,000万円)を保有する人は半年前の2022年12月と比べて41万人から2000人減の40万8000人になったと発表した。
この調査は、同行が21~79歳の香港在住者1700人を対象に行ったもので、純資産の中央値は1,600万香港ドルと2022年末の1,650万香港ドルから50万香港ドル減少した。ただし、2020年は1,550万香港ドル、2021年は1,570万香港ドルだったことから、シティバンク香港は「長期的な視点で見れば、資産は新型コロナウイルス期間中を含めて資産は増加傾向にある」と分析している。
流動資産の中位数は450万香港ドルで、22年末の550万香港ドルから100万香港ドル減少している。流動資産の内訳は現金が46%、株が30%、ファンドが19%、3%が債権というポートフォリオを組んでいた。過去3カ月間はファンドと債券への投資が大きな伸びを示したとしている。
同時に、富裕層と子どもへの意識調査も行っている。富裕層の9割は、子どもたちとお金について話すことや毎月の支出額について明かすことを気にしていない。しかし、個人資産を子どもに教えることに抵抗がない人はわずか30%で、特に流動資産が1,000万香港ドルを超える場合は、20%しかいないという状況も見えた。
富裕層の7割は、子どもたちの海外留学のための資金として投資を行っているほか、子どもが住宅を購入する時の金銭的なサポートをするのを望んでいる親は70%近くあり、その平均額は240万香港ドルに及ぶ。一方、富裕層の40%の子どもは(独立後の生活面などの)経済的なサポートを期待しているが、それを喜んですると答えた親は30%。つまり、香港は特に不動産価格が高いゆえに住宅購入のサポートはするが、それ以外では経済的な自立を望んでいる富裕層が多いことも分かった。さらに、富裕層の子どもたちは親がリタイアした後、経済状況にかかわらず親を経済的に支援したいと考えている子どもも多いことも分かった。
大富豪の子どもたちの 60% 以上が自分の銀行口座を持っており、口座開設の平均年齢は 13 歳で、子どもたちの6割は「親から財務管理の知識を学んでいる」と答えている。子どもたちは「親が勤勉に働き、日々努力を積み重ねたことで富を築いた」と考えており、さらに「親は投資判断の見極めが優れている」と思っている。
シティバンク香港は、金融知識について次世代にテストを行った結果、「自分の口座を持つ年齢が早ければ早いほど成績が高いことが判明した」とし、「銀行口座を早めに持つことが将来の資産形成に好影響を与えることを示している」とする。
香港と日本の大きな違いは、香港に相続税がない点。日本の富裕層は相続税対策に力を入れるが、香港の富裕層は相続税を気にする必要がないため、子どもたちにいかにして財産を残し、どうすれば子どもたちも適切な金融知識を持てるようになるのかということを考えるため、この点の両者の違いが浮き彫りになっている。