レコードをテーマとしたレストラン「Mercury Recalls by Lost Stars」(Shop A, G/F., Fairview Mansion, 51 Paterson Street, Causeway Bay, Hong Kong TEL:2416 7503)が10月27日、銅鑼湾(Causeway Bay)にオープンした。ここ数年、香港でもレコードが再び脚光を浴びている中、早くも香港人の間で話題を集めている。
1982年にCDが登場し、レコードの存在感が薄れていった。1999年にはナップスターが登場。法的な問題などが発生したが、この技術により音楽を聴くにはCDという物理的なものからデータに置き換わった。CDをデータ化してiPodなどテジタル音楽プレーヤーが主流となり、現在では香港でもサブスクリプション型のサービスが台頭している。
しかし、レコードは音の柔らかさ、所有する喜びなど、レコードならではの魅力から、完全に市場からなくなることはなかった。日本レコード協会によると2013年以降生産実績が回復基調にあるほか、全米レコード業界が今年3月に発表した資料によると、2022年のレコード販売枚数は4100万枚で3300万枚のCDを上回っている。
レコード復活の潮流が生まれる中、銅鑼湾に誕生したのがレコードをテーマとする同店。大角咀(Tai Kok Choi)にあるライブハウス「Lost Stars Livehouse Bar & Eatery」が開業したもので、ライブバンドの演奏があるレストランの経営者がレコードに特化する形でオープンした。
「Mercury Recalls」の名前は、中国の歌手、郭頂の曲「水星記(Mercury Records)」から取ったという。店舗面積は3000平方フィートで、バーを併設する。内装は原宿のカフェなども参考にしていることから、昼はカフェ、夜はレストラン、夜が深くなっていくとバーとして使える仕様にした。レトロな雰囲気を演出するため、家具や棚を中心に木をふんだんに使っている。
同店は、演奏するステージの代わりにレコードをかけるブースを設置。2台あるレコードプレーヤーを使ってスタッフがさまざまな曲をかけていく。店内にはたくさんのレコードをディスプレーするほか、レコードのプレーリストも見ることができるようにする。店内にあるレコードはロック、ポップからクラシックまで多彩なジャンルの音楽を用意。音楽雑誌も多く備える。
レコードの音を楽しんでもらうため、スピーカーなどの音楽システムには力を入れる。スピーカーは150ワットのBose社製「Professional DesignMax DM8S」を採用し、サブウーファーはスピーカー同様、Bose社の180ワットの「Professional DesignMax DM8C-SUB」を使うことで豊かな低音とクリアな高音を提供するという。
同店お薦め料理は、エッグベネディクトに香港らしくサーモンを加えた「煙燻三文魚班尼迪蛋英式鬆餅(Smoked Salmon Egg Benedict)」(118香港ドル)、カルボナーラにカニ肉を加えたパスタ「深海紅蟹肉明太子●邦尼扁意粉(Crab Meat Carbonara)」(188香港ドル)、トリュフ味のポテト「黒松露薯條」(118香港ドル)など。
カクテル「Don't Know Why」(148香港ドル)は、米のジャズ歌手、ノラ・ジョーンズさんが発表した曲からインスパイアしたもの。タンカレーのNo.10をベースに、フレンチアールグレイティーで混ぜた温かいカクテルで、昔の英国の雰囲気を再現している。ほかに、映画「君の名前で僕を呼んで」のサウンドトラックを元にした「Mystery of Love」(158香港ドル)は、オランダ産ウオッカにホワイトローズティーとオランダ産ブラックトマトを混ぜたもので、強い風味がある。
営業時間は12時~22時30分(金曜・土曜は翌2時まで)。
●=上かんむりに下