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香港で「禁区」の沙頭角が再び開放へ 元日より1日1000人限定で

「順平街(Shun Ping Street)」のストリートアートも撮影スポットに

「順平街(Shun Ping Street)」のストリートアートも撮影スポットに

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 香港北東部、深センとのボーダーの街「沙頭角(Shau Tau Kok)」が来年1月1日から、観光目的とする一般に開放される。1日1000人限定で、観光目的とする一般に向けての開放となる。通常は住民または特別に許可を得た人のみが入ることができる立ち入り禁止区域だが、香港政府が一般開放するのは2022年以来2度目。通常は立ち入ることのできないエリアを訪れることができる貴重な機会となる。

整備を行った「中英街花園(Chung Ying Street Garden)」

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沙頭角は深センの塩田区に隣接している街で、1898年にイギリスが新界(New Territories)の租借することが決まった時、ここを一つのボーダーとすることが決められた。上水-羅湖(Lo Wu)の間は川が流れているため、隠密にボーダーを越えるのは大変だが、沙頭角は事実上、陸続きであるため越境が容易。そこで当時の香港政庁は1951年に中国からの不法な人の侵入を防ぐ目的で禁区に制定した。

 香港政府は、新界北部を大開発する北部都会区(Northern Metropolis)の構想を進めており、沙頭角を限定的ながらも解放することで観光振興につなげたい考えを持っている。そのため2022年6月から半年間、第1期としてツアー限定で開放し、852のツアーで延べ3万3000人が訪れた。

 今回は第2期として2024年元日から開催。1日当たりツアー客700人、個人客300人の合計1000人を受け入れる。希望者は、まず警務處(Police Force)のオンラインサービス申請プラットフォームを通じて、禁止地域に行くための許可証を取得する必要がある。料金は無料で、先着順。申請してから3営業日で許可証が付与される。許可された日については、7時から21時まで、沙頭角に滞在することができる。すでに1月分は受付が始まったが、毎月1日に翌月分の申請を受け付ける。個人での申請が心配であれば指定の旅行代理店から申し込むことも可能。

 観光の見どころとしては、1962年に建設された「沙頭角舊消防局」(Old Sha Tau Kok Fire Station)がある。現在は消防署として使われていないが、今でも建物は現存しており、沙頭角のランドマーク的な役割を果している。時折、100年前に使われていた消防車ならぬ「消防リアカー」を展示している。

 近年、香港ではストリートアートがインスタ映えスポットとして観光客の人気を集めているが、「順平街(Shun Ping Street)」にはライオンダンスなどが書かれたストリートアートの壁画がある。「沙頭角碼頭(Sha Tau Kok Pier)」は、全長280メートルの香港で最も長い桟橋がある。

 香港政府は2回目の開放に当たり、沙頭角を整備。中英街(Chung Ying Street)にある税関の前にある公園「中英街花園(Chung Ying Street Garden)」も整備した。中英街はまさに香港と中国のボーダーにある通りで、沙頭角の住民でも許可がなければ歩くことができない特別な道。観光客が許可証を得て沙頭角に入ることは可能でも、この通りに入ることはできない。そのため、政府は中英街花園に展望台を設置して中英街を一望できるようにした。

 香港島の大坑(Tai Hang)には火龍(Fire Dragon)があることが知られているが、沙頭角には300年の歴史がある「魚燈舞(Fish-lantern dance)」という、魚の形をしたランタンと楽器を使った独自の舞がある。これにまつわる広場も整備した。

 許可証を取得した者でも車での進入は不可で、上水駅(Sheung Shui Station)または粉嶺駅(Fanling Station)で78S、藍田駅(Lam Tin Station)227Aでバスに乗車するか、上水駅でミニバス55Kに乗って沙頭角に入らなければならない。前回は半年間だったが、今回の実施期間はアナウンスされていない。

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