李家超(John Lee)行政長官は1月23日、旧正月期間中(2月9日の大みそかから2月13日まで)、深センとのボーダーの開放時間を延長すると発表した。特に香港北西部の深セン湾口岸(Shenzhen Bay Control Point)で通常24時に閉鎖するエリアを24時間営業にするほか、羅湖(Lo Wu)の税関も2月11日まで、閉鎖時間を24時から深夜2時まで延長する。それに伴い、MTR東線(East Rail)の運行時間も延長する。
コロナ禍で静かな旧正月が続いたが、今年は5年ぶりにナイトパレードが復活するなど、2024年の旧正月は元に戻る。2023年後半は、香港人が深センで買い物や食事に出かける「北上」が話題となっているが、今回、税関を延長する最大の理由は、正月や旧正月といった節目に、深センを中心とした中国本土からの観光客が大勢、香港にやって来ることが予想されるため。中国も香港も1月2日から通常通り業務がスタートしたが、旧正月になると日本の正月のように長期にわたり休日となる。香港政府は、旧正月期間中は750万人の観光客が香港を訪れ、うち600万人が深センからの陸路を使うと予想している。
2023年~2024年の年越しは、ビクトリアハーバーでのカウントダウンと打ち上げ花火を観賞した後、中国本土に戻ろうとする人が大量に発生。特に中国本土に向かう越境バス乗り場の前は長蛇の列となり、香港警察が現場に出動するなど混乱が見られた。加えて年越しでは、24時間オープンで、かつ車の通行ができる落馬洲(Lok Ma Chau)のボーダーでも大渋滞が発生。大みそかから元日に問題が発生したため、旧正月中でも何らかの対策が求められ、開放時間の延長を決断した。
深セン湾については、車で越境することが可能なため24時間にすることで落馬洲の渋滞の緩和を狙う。羅湖については、東鉄線の金鐘駅(Admiralty Station)発の終電を旧正月になってから約1時間後の0時56分とし、羅胡駅到着を1時46分にすることで、中国本土に戻れるようにした。深センに滞在した香港人にも配慮し、東鉄線では羅湖発の終電を2時30分発とし、3時20分に金鐘に到着する。
中国本土の各都市に向かう越境バスも増便する。バス乗り場が設置されている、佐敦(Jordan)、太子(Prince Edward)、湾仔(Wanchai)を出発するバスを対象とする。
越境はしないが、香港内から落馬洲までを走るバスも増便する。城巴(Citybus)は、屯門(Tuen Mun)と深?湾をつなぐ路線バスB3XとB3A、B3を日中に走らせているが、深夜便となるNB3、NB3Xの運行を決めた。加えて、銅鑼湾(Causeway Bay)と落馬洲を結ぶ新ルート976Sを設ける。九巴(KMB)は、沙田(Shatin)と落馬洲を結ぶN73を増発させる計画。
香港は現在、「北上」による内需不振で景気があまり良くないが、旧正月期間中だけでも連日イベントを開催することで中国人観光客を呼び込んで大量消費をしてもらい、少しでも内需回復につなげたい考えだ。