現在、お盆の時期を迎えている香港のビクトリアパークで8月23日、「盂蘭文化祭」が始まった。香港で「鬼節」「中元節(ヂョンユンジッ)」と呼ぶお盆の正式名称は「盂蘭節(ユーランジッ)」。盂蘭節の由来にもさまざまな説があるが、最もよく知られているのは仏祖の弟子目連が亡き母を救った物語で、「孝道」「善行」の重要性を強調している。
香港で「鬼」という言葉は、日本の節分で退治されるような鬼とは異なり、広東語では「亡くなった者の霊」を指す。旧暦7月には鬼門が開き、幽霊が人間界をさまようため、香港各地で盂蘭盆会が行われ、先祖や孤魂(弔う人もない魂)に「衣紙(鬼用のお金)」を焼いて供える儀式が行われる。
盂蘭節の日付については諸説あり、鬼門が開く日が旧暦7月14日だとする説や旧暦7月15日が地官清虚大帝の誕生日であるため、旧暦7月15日だとする説も存在する。香港の盂蘭節は1カ月にも及び、今年は8月4日から9月2日まで続く。
この期間中、香港各地では祭りが行われ、盂蘭盆会と呼ばれる、さまざまな儀式や行事が行われる。この風習は潮州から香港に伝わり、特に潮州人が多く住む地域で活発に行われている。初日には神を招く儀式が行われ、その後3日間にわたって「神功戲」という劇を上演。2日目・3日目は入場無料となり、最終日には「平安米(平安と幸福を象徴する米)」を配る。
日本でも「お盆の時期に海に入ると霊に足を引っ張られる」といった迷信があるが、香港ではさらに多くの禁忌が存在している。暗い場所や壁際には陰気が重いとされ、夜や壁に近づかないよう注意する。「霊がスリッパの方向に従って歩く」という説もあり、就寝する際にはスリッパのつま先をベッドの方向に向けないことを勧める。さらに、霊は口笛を聞くと誰かが自分を呼んでいると感じ、その音に従ってしまうので、夜に口笛を吹かないようにする。肩や額にはエネルギーがあり、お化けや霊が近づきにくいため、肩をたたいたり、後ろから呼びかけたりすることは避けるべきだとされている。この時期には、「肩をたたかない」「後ろから呼びかけない」「バスの前列に座るよう勧めない」などのことに気をつけることが重要とされている。
これらの風習がある一方、若い世代はあまり気にせず、盂蘭節の時期も普段通りに生活しており、禁忌を守らない。親から禁忌の重要性を教えられても、多くの若者は科学的根拠があるかどうかを重視し、迷信を信じないという考え方を持っている者も多い。
旧暦7月15日(西暦8月15日)は過ぎたが、香港潮屬社団総会は「第7回盂蘭文化祭」を開催し、ビクトリアパークで一連のイベントを繰り広げている。開催期間は8月23日~25日の3日間で、潮州工夫茶や潮州の菓子、人形作り、折り紙などのワークショップを催す。ほかにも、「搶孤比賽(餓鬼を演じる競技)」「盆供堆壘比賽(盆供物の積み重ね競技)」などのイベントを予定しており、地元や海外から多数の「餓鬼チーム」が参加した。併せて、香港で話題になった九龍城文化のツアーや行事なども行われ、新たな形で盂蘭節の文化を広げている。
香港潮属社団総会は、現代の要素を伝統的な文化に取り入れ、最新のトレンドを通じて盂蘭文化の魅力を表現することを目指している。主席の陳振彬さんは「盂蘭節の文化は潮汕文化の『根』であり、その文化を広めて受け継ぐことで、地元の人々を結集し、大きな力を生むことができる」と話す。