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香港政府、元朗で自動運転バスの試験開始

香港政府は「錦綉花園(Fairview Park)」で自動運転バスの試験運転「5G自動駕駛於住宅園區的服務試點項目」を開始した

香港政府は「錦綉花園(Fairview Park)」で自動運転バスの試験運転「5G自動駕駛於住宅園區的服務試點項目」を開始した

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 香港政府は8月26日、新界(New Territories)の元朗(Yuen Long)にある住宅街「錦綉花園(Fairview Park)」で自動運転バスの試験運転「5G自動駕駛於住宅園區的服務試點項目」を始めた。時速30キロ、全行程は約15分、総距離2.5キロの路線を循環するバスで、7カ月間、2台のバスが住民を対象にサービスを提供する。

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 仕様はミニバスサイズで、香港の伝統的な右ハンドル車。低床設計で、バッテリー容量は90.24キロワットで、60キロワットの充電で、約2時間でフル充電できるという。

 自動運転の試験は汽車科技研發中心(APAS)が行う。APASは2006年、創新科技署(Innovation and Technology Commission)と香港生産力促進局(HKPC)によって設立された政府系の研究機関で、環境、インテリジェント・モビリティーなど香港の自動車業界に寄与する技術の開発を行っている。

 現在、香港では既に8台の車が自動運転のテスト走行をしており、うち4台は自動運転レベルの全5段階のうちレベル4を取得。これは、限定された条件下において、全ての運転操作をシステムが担う。つまり、ドライバーがいない走行を可能とする。APASは過去2年間、中国本土で閉鎖された空間で開発テストを繰り返し、22日に免許が交付され、今回のテスト走行に至った。

 試験運転のため、車内にはセーフティードライバーが待機しており、バス停に停車した後、ミニバスのドアを安全に閉める制御を担当する。緊急時にはハンドルに触れて手動運転に切り替える体制も整えた。

 錦綉花園で行われる理由として、出入り口にゲートがあり住民以外は専用バスに乗る必要があり、自由に車の乗り入れができないため。比較的安全にテストできるというメリットがあるという。

 ここで全2.5キロのルートを走る循環バスを運行し、住民には錦綉花園内を移動手段として活用してもらう。バスはミニバスとほぼ同じ規格で、車いす用の席などを設置しており、定員は8人と12人。このバスには15個のセンサーを取り付け、取得したデータに地図と画像処理技術などを組み合わせてAIが路面状況などを分析し、自らの位置を正確に把握できるようにした。

 テストでは、交通事故を起こさず安全に運行できるかどうか以外にも、バス停が近づいたときにどのような感じで減速するのか、出発後もどの形で加速するのかなど、「人間が不快にならない運転」という点も観察する。加えて、5G技術を活用してクラウド上でバスの運行状況をリアルタイムで監視する。

 最近の香港では、香港政府系の科学技術研究機関である香港應用科技研究院(ASTRI)と城巴(City Bus)が、自律走行と車に関係するネットワークシステムの研究開発についての覚書を交わすなど、自動運転についての動きが活発化している。両者は、2025年を目標にミニバスを使って大学駅(University Station)と科学園(Science Park)を結ぶ路線でテスト走行を行う予定。

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