香港で改正「商品説明条例」セミナー、香港税関から講師招く

香港税関から直接話を聞ける貴重な機会に日本企業で働く香港人の姿も多く見られた

香港税関から直接話を聞ける貴重な機会に日本企業で働く香港人の姿も多く見られた

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 日本貿易振興機構(ジェトロ)は2月17日、香港日本人倶楽部で改正「商品説明条例」に関するセミナーを開催した。香港日本料理店協会との共催。当日は香港税関(香港海關)の香港税関高級貿易管制主任のH. Y. Tseさんを講師に迎え、飲食業・小売業をはじめとするサービス業の関係者を中心に約100人が参加した。

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 「商品説明条例」はもともと1981年に成立していたが、昨年7月19日の同改正条例施行後は条例の適用対象を商品の販売だけでなくサービスなどにも拡大し、「消費者保護」の観点を強調したことが注目されている。例えば割引を表示する際にはある一定期間同じ価格で販売していたという実績を証明できるのであれば定価として本来の価格を表示することができるが、香港で通例となっていた「値引き」「安売り」の表示には特に気をつけなければならなくなった。先週も香港地元紙が大手スーパー「ウエルカム(恵康)」の支店で、ポテトチップス1袋の通常価格が5.5ドルであるにもかかわらず「特価:2袋で11.5ドル」と表示していたことが「商品説明条例」に違反するとして告発され、罰金1万ドルの有罪判決が言い渡されたと報じたばかり。

 消費者の関心を引くために「1個がたった1香港ドル」といったフレーズを使うことはできるが、その際には「限定個数」の記載が必須。共同購入サイトなどで食事券を販売する際に、席数を大きく上回る券をあらかじめ発行することなどは同条例に抵触する恐れがある。

 セミナー後半は質疑応答の時間が設けられ、香港税関が直接回答する機会に多くの質問が寄せられた。「『日本種の中国産いちご』という表現は問題がないか」という質問に対してTseさんは「問題はない」としたうえで「表示などに消費者の誤解を招く恐れのある言語の使用、ロゴの表示や虚偽があってはならない」ということをあらためて強調。オーガニック商品の菓子類の販売事業者からは「オーガニックチョコレートを使ったクッキーはオーガニック商品と記載して販売可能か」という問いには「有機食品の規定は現在別機関で整備中であること」に触れながら「問題がない」とした。

 また、多くのレストランでなじみのある香港ならではの「セット価格」についても、「通常の単品価格を合わせてセットのオリジナルプライスを設定し、そこから大きな割引があるように見せることは好ましくない」とし、「コンビネーション価格」「単品の組み合わせ価格」という表現で表記することが望ましいとした。「口頭」による商品説明も有効だが、日本ならではのすしの「おまかせ」についても「トラブルを回避するうえでは予約時、金額が設定を超える際に口頭であっても金額を再度説明する方がいい」という見解を示し、風情がない「おまかせ」を想像した参加者からは笑いの声も漏れた。

 香港税関では個別ケースに関してホットライン(2815-7711)を設置している。税関は通信事務管理局と共同で同条例に関する手引き(中国・英語)も発行し、ウェブサイトにも掲載。ジェトロ香港でも日本語訳版を用意し、ウェブ上で公開している。

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