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香港に日本人シェフが指揮を執るフレンチビストロ 陳皮などの地元食材使う

日本人シェフが指揮を執り、地元の食材を使った料理を提供するフレンチビストロ「セディーユ」が尖沙咀にオープン

日本人シェフが指揮を執り、地元の食材を使った料理を提供するフレンチビストロ「セディーユ」が尖沙咀にオープン

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 日本人シェフが指揮を執り、地元の食材を使った料理を提供するフレンチビストロ「Cedilla(セディーユ)」(12/F The Lamma Tower, 12 Hau Fook Street, TST TEL 91650827)が4月30日、香港の尖沙咀にグランドオープンした。

漢方系食材や発酵食材を用い、地元食材の特徴を際立たせる

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 シェフの二本柳眞さんは北海道出身で、フランス料理で25年以上の豊富な経験を持つ。浦河町で育ち、札幌のフレンチレストラン「ミクニ サッポロ」で料理長まで務めた後、海外に挑戦。「単に新鮮な旬の食材を選ぶだけでなく、持続可能な食材へのこだわりを強く打ち出す。肉でも、魚介でも、野菜でも、食材の異なる部位を使い分けることで、その持ち味を最大限に引き出す」という。

 香港のローカル食材を使い、それをフレンチの手法で仕上げていくスタイルが特徴もの同店。「地元の食材を使うのはフレンチでは基本となる考えで普通のこと。日本人だけど、あまり日本の要素がないかもしれない」と二本柳さんは微笑む。もともとはオーナーの自宅で料理を振る舞う機会などがあり、そろそろ日本への帰国を考え始めたところ声をかけられたことが開業につながった。

 地元食材の特徴を際立たせるのはソース。さまざまな調味料を組み合わせ、「八角」「陳皮」と呼ばれる干しミカンなどの漢方系食材も加える。伝統的な技法を使ってさまざまな食材を調理し、料理のバリエーションを増やしている。

 白菜を発酵させた「発酵白菜」もソースなどに使う。牛のすじ肉と日本のこうじを使う「肉醤(ぎゅうしょう)」は、魚を塩漬けにして発酵させてできた汁「魚醤(ぎょしょう)」の肉版で、二本柳さんは過去、北海道で鹿を使った料理も作っていたこともある。現在漬けたものは1、2年後に使うという。

 メインの中でも人気があるのはカモを使った料理。カモの胸肉から大量に出るガラを使い、赤ワインで煮込む。ここに甜麺醤(テンメンジャン)をベースにスパイスなどを加えが甘みもある濃い「海鮮醤(ホイシンソース)」を加えてソースを完成させる。ソース一つには、寝かせる時間なども含めて2日間を要するという。

 ハトも同じように赤ワインで煮出し、豚の血でとろみをつける。そこに生クリームを合わせ、最後にオイスターソースも加える。豚の血などは新鮮であることも求められるので、二本柳さんは朝起きてレストランに来る前に自らローカルマーケットを回り、ペットボトルに入った豚の血を手に入れることも。「食材は肉なども含めてかなり自分でもマーケットを回って、つながりもできた。良しあしを判断していると、どんどんと良いものを出してくれるようになった印象」と二本柳さん。

 「カモでも、鶏でも、牛でも、それぞれの食材を使ってソースを作り、またそれをメイン料理に添えて戻すこと。これもいわゆるフレンチの基本となるサステナビリティーの考えに通じるフレンチの哲学」だという。

 店内はシンプルながら、マホガニー色の木製家具などで、モダンで快適なデザインに仕上げた。キッチンを囲むL字型のカウンターとテーブル席を合わせて20席ほど。ディナーメニューは3コースと4コースがあり、それぞれ480香港ドルと600香港ドルに設定した。22時以降は、ワインペアリングオプションも用意。パンも自家製の天然酵母したものを提供する。メニューは毎月変更していくという。

 ワインと料理のペアリングは、フランス出身のヘッドソムリエ、ビクターさんが担当する。アルプスの5つ星レストランで経験を積んできた。3グラス (380香港ドル)、4グラス (490香港ドル)で、ビクターさんがアドバイスする。

 「普段の自分の食事は逆にローカル料理ばかり食べている」と二本柳さん。「特に潮州料理の香り、味付けが独特で好みで、毎回発見がある」と言い、「もっと食べ歩き、ローカルご飯からさらにインスピレーションを得て研究し、自分の料理も掘り下げていきたい」と意気込む。

 営業時間は18時~24時(バータイムは22時~)。月曜定休。

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