香港の啓徳体育館「縁縁堂(Dream by the Sea)」(啓徳スタジアムBゲート外)に、香港初の大型半球体アートスペース「FutureScope」が登場し、第1弾として12月19日、没入型マルチセンサリー体験作品「Perpetual Records」が始まる。指定日にチケット制による公演を行う。
「FutureScope」は半球構造を通して宇宙空間を構築したもの。直径は12メートルで、最大100人を収容することができる。半球体装置の外観は天球儀のように外部の空の雲影を映し出し、内部は360度投影と音響技術によって造られた没入型空間に仕上げた。この内外の動きが呼応し合う構図は、古代中国の占いの書『周易・繋辞(けいじ)上』に記された「形而上(けいじじょう)なるものを道といい、形而下(けいじか)なるものを器という」という概念を体現しているという。
「Perpetual Records」は、香港のメディアアーティスト張瀚謙(h0nh1m)さん率いるアートチームXCEPTと日本人アーティスト真鍋大度さんとがタッグを組み、4月まで開催する「FutureScope」の3章の初回を飾る作品。来場者を魅惑的な360度空間へと誘い込み、絶えず進化する結晶の宇宙に没入させ、人々を魅了し、インスピレーションを与える。宇宙誕生以来の全ての出来事・思考・感情が記録されているとされる「世界記憶」の概念「アカシックレコード」から着想を得て生まれ、高度な顔面スキャン技術で参加者のデータを収集し、「集合的実存から成る音響と光の領域」に融合させ、観客と共に「詩的な幾何学的空間」を構築する。
同作品内の音響ソフトウエアデザインを真鍋大度さんが手がけた。真鍋さんはテクノロジー、アート、サイエンスを融合させたメディアアート作品を数多く生み出し、Perfumeや坂本龍一など著名アーティストの演出やリオ五輪閉会式でのAR(拡張現実)演出を手がけ、世界で活躍する日本人アーティスト。空間内サウンドは観客の顔の動きに応じてリアルタイムで変化するホワイトノイズと電子音で構築する。
プレミアム体験として観客の一体感を高める特別有料ステージを展開。鑑賞だけでなく、作品生成プロセスへの直接的な介入を可能にする。各回定員制、約30分間の体験で5つのユニークな没入型視覚シーンで構成する。
同公演はクリエーティブスタジオXCEPTの芸術監督・張瀚謙さんが指揮を執る。入念に構成した視覚音響パフォーマンスでは、顔認識技術で収集した観客のリアルタイムデータを即興創作に活用し、参加者一人一人が進化するアート作品に貢献する、「唯一無二で再現不可能な多感覚体験」を創出するという。
一般公開は、月曜~木曜=14時~20時、金曜=14時~22時、土曜・日曜・祝日=11時~22時。12月31日・1月1日は休館。特別有料公演は1月2日~4日に開催し、1日4部制。入場料は90香港ドルで、6歳以下の児童・学生・65歳以上の高齢者は60香港ドル。第1弾は1月4日まで。